嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 幸いなことに、孤児院の子供達に重傷者は居なかった。

「レイ、アミ、マリー、ご苦労様」

「「「 お疲れ様です! 」」」

「マリー、大丈夫? ショックだったんじゃない?」

「は、はい! もう平気です!」

 うん、無理してる様子は無いね。大丈夫そうだ。

「マリー、今日は孤児院に帰りなさい。私から院長先生には話しておくから。子供達を診てあげて? よろしくお願いね」

「わ、分かりました! あ、ありがとうございます!」

 今日くらいはいいよね。マリーも子供達が心配だろうから。


◇◇◇


 次の日、マリーが神殿に戻って来た。

「聖女様、ただいま戻りました」

「マリー、お帰り。子供達の具合はどうだった?」

「はい、みんな特に異常はありませんでした」

「そう、良かったわ。手当てが早かったお陰ね。マリー、お手柄だったわよ」

「あ、ありがとうございます!」

 そこへレイとアミがやって来た。

「マリー、お帰り」

「マリー、今日から滝行だからね。覚悟はいい?」

「は、はい! 頑張ります!」

「気合い入れるのはいいけど、風邪引かないようにね?」

「は、はい! 気を付けます!」

 うんうん、元気があってよろしい。でもねぇ...


◇◇◇


「ゴホッ! ゲホッ! ズビビビッ!」

「マリー、大丈夫?」

「ふわぁい...ダイジョブれす...」

「無理しないの」

「滝行は誰でも最初そうなるから」

「今日はゆっくり休みなさい」

「ふゎい...」

「レイ、アミ、私が看病してるから、あなた達は修行を続けなさい」

「「「 はい、聖女様! 」」」

 私は風邪を引いて熱を出したマリーの額に水で冷やしたおしぼりを乗せる。治癒の力で治すようなことはしない。

 よっぽど酷い流行病なら話は別だが、この程度なら自然治癒に任せる方が良い。じゃないと体の中に抗体が生まれないからだ。 

 なんでもかんでも癒しの力で治してしまったら、いつまで経っても弱い体のままだ。だからある程度は病に強い体になる必要があるため、こうやって自然の治癒力を高めるようにする。

 今は辛いだろうが、自分の将来のために病に打ち勝って欲しい。

「うぅん...ママ...」

 どうやら幸せな夢を見てるみたいだ。

「ママはここに居るわよ? ゆっくり休んでね?」

 そう言ってマリーの頭を撫でてあげる。

「フフッ...ママぁ...」

「良い夢を。早く元気になってね?」

 私はマリーに添い寝しながら、いつの間にか寝てしまったようだ。

「くしょん!」

 どうやらマリーに伝染されたようだ...

 私もまだまだ修行が足りないな...
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