嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 全く疲れた様子のなかったマリーだったが、そうは言っても初日ということもあり、見えない疲れが溜まっているだろうことを考慮して先に休ませた。

 今、聖女の控え室には私とレイ、アミの三人が揃っている。

「凄い子ですよね...」

「癒しの力だけなら私達より強いんじゃ...」

「そうね。私よりも強いと思うわ」

「聖女様よりもですか!?」

「信じられない...」

 レイとアミの二人はショックを受けてるようだ。私もビックリしてるんだけどね。

「あの...聖女様...もしかして私達よりマリーの方が...」

 アミが弱音を吐く。

「なに言ってるの? 聖女候補はあなた達以外に居る訳ないでしょ? 聖女になるには癒しの力だけ強くたってダメなのよ?」

 そう、聖女になるには修行の末に獲得する神力が大事になってくる。マリーは全く修行を行ってないのでそもそも論外なのだ。

「それにね、あんなに引っ込み思案じゃ聖女は務まらないでしょ? ある程度は社交性も必要になってくるのよ?」

「あぁ、確かに...」

 今のマリーではとてもじゃないが式典でスピーチしたり、巡礼の旅で地方に赴き、知らない人の前で挨拶するなんてことも出来そうにない。

「だからね、これからマリーが修行を積むにしても、あの性格をどうにかしないといけないのよ。あなた達にも協力して貰えると助かるわ」

「わ、分かりました!」

「ま、任せて下さい!」

 うん、二人とも良い返事だ。


◇◇◇


「マリー、掃除の仕方が甘いわよ!」

「...は、はい...も、申し訳ありません...」

「もっと大きな声で! 元気良く!」

「は、はい!」

「マリー、お祈りの言葉をもっとハッキリ!」

「...は、はい...すいません...」

「声が小さい!」

「は、はい!」

 うんうん、二人とも厳しい中にも優しく指導できてるね。上手く出来た時にはちゃんと頭を撫でてあげてるもん。
 
 じゃあ私もしっかり指導してあげないとね。


◇◇◇


 今日は貧民街で炊き出しを行う日だ。私は敢えてレイとアミを連れず、マリーだけを伴っていた。

「マリー! 順番待ちの人達に後どれくらい時間が掛かるか伝えて来て! しっかりハッキリ伝えるのよ!」

「は、はい! わ、分かりました!」

 私はマリーをわざと人に関わる役割を持たせた。最初は戸惑っていたようだけど、次第に慣れて来たのか堂々として来た。だから、

「マリー、お疲れ様。良く頑張ったね」

 そう言って優しく頭を撫でてあげた。

 マリーはハニカミながらもニッコリと微笑んでいた。
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