72 / 83
72
しおりを挟む
カナの件で私が誘拐されてからというもの、カルロは公爵家の影を私に付けるようにしてくれている。
なんだか申し訳ないなと思いながらも、こうして役に立ってくれているから、私も甘えることにしている。
「リタ、どんどん頼ってくれていいんだからね? 僕としてもその方が安心できるんだからさ。遠慮しないで欲しいな」
そう言って貰える私は、本当に幸せ者だと思う。
ちなみにマリオ達は1ヶ月の停学処分になった。
◇◇◇
今日は久し振りに神殿に来ている。
聖女の最終候補としてレイとアミの二人を選んだことで、聖女としての私の公務を分担できるようになったからだ。
二人とも既に聖女としての神力は、私に引けを取らないレベルに達しているので何も問題無い。今日も二人はそれぞれ聖女の公務を行っている。
で、私はと言えば、
「え~と...今日はレイが神殿の癒し担当で、アミが街の清掃担当か...じゃあ私は孤児院に慰問にでも行こうかな」
こんな感じで結構グダグダだったりする。さすがに公式行事とかは私が出席するけど、普段はこんな風にかなり自由にさせて貰っている。
◇◇◇
孤児院に来るのは、あの人身売買事件以来だったりする。事件後、子供達の待遇は大幅に改善されたので、みんな元気そうな顔をしている。
良かった良かった。安心したよ。
「聖女様~! ご本読んで~!」「聖女様~! 刺繍教えて~!」「聖女様~! 鬼ごっこしよ~!」「聖女様~!」「聖女様~!」
「ちょ、ちょっと待って待って! 私の体一つしかないからぁ~!」
元気過ぎる子供達を甘く見てたよ...
「うん!? ねぇ、あの子はなんで一人で居るの!?」
子供達の攻勢が落ち着いた頃、私の目に一人の少女の姿が目に止まった。その子は誰とも絡まず一人で本を読んでいた。
「あ~...あの子はね~...誰とも話さないの~」
「だから誰も相手にしないの~」
「聖女様も放っておいていいよ~」
子供というのは時に残酷だったりする...悪意は無くとも思ったことを素直に口にしてしまうから...
私は放っておけなくて、その子に話し掛けてみた。
「こんにちわ、お名前聞いてもいいかな?」
「......」
「なに読んでるのかな?」
「......」
「みんなと一緒に遊ばない?」
「......」
て、手強い...仕方ない。心の声を聞くか。
『......』
無心ですか! ここまで心を無に出来るってある意味凄いな!
これは手に負えないと思った私は、院長である神父様に聞いてみることにした。
なんだか申し訳ないなと思いながらも、こうして役に立ってくれているから、私も甘えることにしている。
「リタ、どんどん頼ってくれていいんだからね? 僕としてもその方が安心できるんだからさ。遠慮しないで欲しいな」
そう言って貰える私は、本当に幸せ者だと思う。
ちなみにマリオ達は1ヶ月の停学処分になった。
◇◇◇
今日は久し振りに神殿に来ている。
聖女の最終候補としてレイとアミの二人を選んだことで、聖女としての私の公務を分担できるようになったからだ。
二人とも既に聖女としての神力は、私に引けを取らないレベルに達しているので何も問題無い。今日も二人はそれぞれ聖女の公務を行っている。
で、私はと言えば、
「え~と...今日はレイが神殿の癒し担当で、アミが街の清掃担当か...じゃあ私は孤児院に慰問にでも行こうかな」
こんな感じで結構グダグダだったりする。さすがに公式行事とかは私が出席するけど、普段はこんな風にかなり自由にさせて貰っている。
◇◇◇
孤児院に来るのは、あの人身売買事件以来だったりする。事件後、子供達の待遇は大幅に改善されたので、みんな元気そうな顔をしている。
良かった良かった。安心したよ。
「聖女様~! ご本読んで~!」「聖女様~! 刺繍教えて~!」「聖女様~! 鬼ごっこしよ~!」「聖女様~!」「聖女様~!」
「ちょ、ちょっと待って待って! 私の体一つしかないからぁ~!」
元気過ぎる子供達を甘く見てたよ...
「うん!? ねぇ、あの子はなんで一人で居るの!?」
子供達の攻勢が落ち着いた頃、私の目に一人の少女の姿が目に止まった。その子は誰とも絡まず一人で本を読んでいた。
「あ~...あの子はね~...誰とも話さないの~」
「だから誰も相手にしないの~」
「聖女様も放っておいていいよ~」
子供というのは時に残酷だったりする...悪意は無くとも思ったことを素直に口にしてしまうから...
私は放っておけなくて、その子に話し掛けてみた。
「こんにちわ、お名前聞いてもいいかな?」
「......」
「なに読んでるのかな?」
「......」
「みんなと一緒に遊ばない?」
「......」
て、手強い...仕方ない。心の声を聞くか。
『......』
無心ですか! ここまで心を無に出来るってある意味凄いな!
これは手に負えないと思った私は、院長である神父様に聞いてみることにした。
10
お気に入りに追加
1,745
あなたにおすすめの小説
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。

もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません
片桐葵
恋愛
いわゆる悪役令嬢・セシルは19歳で死亡した。
皇太子のユリウス殿下の婚約者で高慢で尊大に振る舞い、義理の妹アリシアとユリウスの恋愛に嫉妬し最終的に殺害しようとした罪で断罪され、修道院送りとなった末の死亡だった。しかし死んだ後に女神が現れ7歳からやり直せるようにしてくれた。
もう一度7歳から人生をやり直せる事になったセシル。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる