嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 私はカルロとララに合図としてハンドサインを送った。

 事前の打ち合わせで、お茶に何か仕込まれる可能性は高いと踏んでいたからだ。

 その上で私はお茶を飲み干して見せた。

「とても美味しゅうございますわね」

 と同時に聖女の浄化の力を全開にして、体内に取り込んだ媚薬の効果を打ち消す。クッ! それでも口で言うほど簡単ではない。多少のダメージは食らうことになる。

 ユミ王女は私が飲み干したのを見てほくそ笑んでいる。心の声を聞くまでもなく成功を確信しているのだろう。

「気に入って頂いて嬉しいですわぁ♪ ささ、お代わりをどうぞ?」

 お代わりも全て飲み干す。さすがに二杯目のダメージはキツイが、それでも我慢して平気な顔で笑顔を返す。ユミ王女の顔が初めて歪んだ。即効性のはずなのに効いた様子が無いから焦っているんだろう。

 私は少し動くことにした。

「少し飲み過ぎたようですので、ちょっとお花を摘みに行って参りますわね。ホホホッ」

 私が席を立つとさりげない風を装おって、ユミ王女の手合いの者と思われる連中が後を尾けて来る。

 だが私の両脇をカルロとララがしっかりガードしているので、近寄っては来れない。私は歩きながら二人に説明する。

「お茶に媚薬を混ぜられたわ」

「やっぱりか。リタ、大丈夫かい!?」

「えぇ、聖女の力でなんとか。でもこれ以上飲んだらちょっとヤバいわね...」

「ご安心下さい、聖女様。私が給仕役を代わりますわ」

「ありがとうございます、ララ様。でも十分にお気を付け下さいませ」

「大丈夫です。バレないように上手くやります」

 打ち合わせを終えた私達は席に戻る。すると給仕役の侍女が動き出す。すかさずララが側に寄りこう囁く。

「王女様から給仕を代わるように指示されました。あなたは向こうのテーブルをお願いします」

「あ、はい。分かりました」

 素直に言うことを聞いたところを見ると、この侍女は特に王女から買収されたとか、そういうことでは無さそうだ。ただ単に私のお茶だけポットを変えろと指示されただけなのかも知れない。

 侍女からポットを受け取ったララは、とても良い笑顔を浮かべている。ちなみにユミ王女は、王妃様と話していてこちらを見ていない。その点も好都合だった。

 ララが注いだお茶を飲んだユミ王女は、途端に顔が真っ赤に染まった。

「あ、あの! わ、私、ちょっとお花を摘みに!」

 そのまま物凄い勢いで走って行ったユミ王女は、それっきり戻って来なかった。ホスト不在のまま、お茶会はグダグダと終了した。またもやユミ王女の評判は下がる一方となった。

 ざまぁ!
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