嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 食堂でのユミ王女の痴態は当然、そこに集まったみんなの注目の的になっていた。

 三人娘達も苦々しい顔で睨んでいる。だが相手は仮にも隣国の王族。身分差の前に歯噛みするしかないようだ。ヘタすりゃ不敬扱いになっちゃうから無理もない。

 だが私は引き下がるつもりはない。たとえ不敬だと訴えられようとも。私にはカルロの婚約者という大義名分があるから、それを盾にしてなんとか乗り切れるだろうという打算もちょっとはあるけどね。

 私が意を決してユミ王女の前に立ち向かおうとした時だった。

「あら? ここっていつから娼館になったのかしら?」

 勇者が現れた! ララがユミ王女を蔑んだ目で見やりながら、辛辣な言葉を放つ。いくら侯爵令嬢だからといっても、そんなあからさまに挑発するような物言いをして大丈夫なのだろうか!?

 私がハラハラしながら見詰めていると、ユミ王女は眦を上げて怒りを露にした。

「なんですって? あなた、もう一度言ってみなさいよ!」

「あら? お気に障ったのなら申し訳ございませんわ。ですが我が侯爵家では女性のそのような振る舞いは娼婦のようだと教育を受けていたものですから。つい言葉に出てしまったのですわ」

「こ、この! 侯爵風情が偉そうに!」

 ユミ王女が怒りでワナワナ震えている。

「あら? じゃあ公爵家ならよろしいんですの?」

 ララから勇気を貰ったのか、ミラが割って入って来た。

「お義兄様に軽々しく触れないで頂きたいですわ。不愉快です。王族として恥ずかしくありませんの?」

「ぐぅ...こ、このぉ!」

 ユミ王女は怒りで顔が真っ赤になっている。

「全くですわ。未来のお義兄様になられるお方に変な虫が付いたら大変ですわ。離れて頂けます?」

 更にリズが続いた。

「む、虫ですってぇ!? あ、あんた言うに事欠いてなんてことを! カルロを未来のお義兄様って呼ぶってことは、あんた伯爵令嬢よね!? 伯爵風情がよくもこの私に偉そうな口を!」

 ユミ王女は怒りで我を忘れているようだ。カルロのことを呼び捨てにしてることにも気付いてないに違いない。

「っていうか、爵位云々より淑女として有り得ませんよね? 真っ昼間っから堂々と男に抱き付くなんて。お里が知れましてよ?」

 そしてルナが最後を締めた。

「あ、あんたらぁ~! 全員不敬罪でとっ捕まえてやるわぁ~! 覚悟しなさいよぉ~! ただじゃおかないんだからねぇ~!」

 そんな捨て台詞を残して、ユミ王女は足音荒く食堂を出て行ってしまった。

 あれ? 私の出番は? まぁいいか...
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