嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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「せ、聖女様...も、申し訳ございません...な、何卒ご容赦を...」

「謝る相手が違うでしょう! そんなことも分からないの!?」

「あ、そ、その...れ、レイ...ご、ごめんなさい...も、もう我が儘言いませんから許して下さい...」

「ああ言ってるけどレイ、どうする? 許す?」

「...これから心根を入れ換えて真面目に修行すると言うなら許します...」

「よろしい。ではその言葉を見極めるために、私も今日から毎日あなた達の修行に付き合うことにします」


◇◇◇


 自分でそう言った通り、私は学園のある日は放課後になってから、休日は朝からずっと彼女達の修行に付き合った。

「アミ! 掃除の仕方が甘い! やり直し!」

「申し訳ありません!」

「レイ! さっきのお祈り集中して無かった! もっとしっかりやりさない!」

「はいっ! 分かりました!」

 アミとレイには特に厳しく当たった。なぜならセナ達が抜けたことで、残った聖女見習いの少女10人の内、もっとも神力が高いのがレイで、その次に高いのがアミだからだ。

 神力とは厳しい修行によって徳を積み上げることにより上がるもので、個人差はあるが大体20歳を迎える頃にピークを迎える。全員がまだ11歳の彼女達にとって今が一番伸び盛りであると言えよう。

 聖女として活動して行く上で、この神力がとても重要になる。神力が高くないと治癒の魔法の威力が下がったり、五穀豊穣を神に祈る力が落ちたりする。

 そうなると聖女としての務めが果たせなくなるのだ。これは国益にも関わって来る大問題となる。飢饉や干魃といった自然災害に対抗しうるのは、聖女が持つ祈りの力だけなのだから。聖女とはとても重要な役割を担っているのだ。

 20歳を過ぎると神力は緩やかに下降して行く。なので聖女の代替わりがこの時期に多いのはそのためでもある。

 その他にも結婚、妊娠などで聖女としての務めを果たせなくなる場合がある。私の場合も学園を卒業すると同時にカルロと結婚することになっている。

 結婚後もカルロは聖女を続けても良いと言ってくれているが、妊娠してしまえば聖女を引退するしかなくなるだろう。

 私の後継者を決めておくのに早いに越したことはない。だから厳しく指導する。甘えは許さない。

 聖女としての務めを果たしながら彼女達の修行に付き合うのは、私にとっても体力的に厳しいものがあるが、決めた以上はやり切ってみせると覚悟を固めている。

 そして私は大司教様にある提案をした。
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