嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 私は放課後になるのを待ってカルロを伴い神殿に向かった。

 一人だと不安だったので付いて来て貰ったのだ。大司教様には幸いすぐお会い出来た。

「これはこれは聖女様、本日はどのようなご用向きですかな?」

「大司教様、お忙しいところ申し訳ありません。実は...」

 私はマナの企みを大司教様にありのまま伝えた。もちろん、心の声を聞いたという部分はたまたま耳にしたということにして。

 これはセナの件でカルロに協力して貰った時も同じように伝えていたので、割とすんなり信じて貰えた。

「そうでしたか...マナ嬢がそんなことを...」

「えぇ、ですから大司教様には十分ご用心頂きたいと思いまして」

「わざわざありがとうございます。早速警備を強化したいと思います」

「ちなみに近々で参加されるイベントとか何かございますか?」

「そうですね...あぁ、今週末に植樹祭があります。参加する予定ですが、止めておいた方がよろしいでしょうか?」

 私はカルロと目を合わせた。

「大司教様、そのままご参加下さい。ただし、会場の警備に我が公爵家の私兵を紛れ込ませたいと思います。ご許可頂けますか?」

「おぉっ! カルロ殿にご協力頂けるとは心強い限りです。是非ともよろしくお願い致します」

 その後、私とカルロは週末まで毎日、警備体制について大司教様と打ち合わせを重ねた。


◇◇◇


 そして植樹祭の当日を迎えた。植樹祭とはその名の通り、記念樹を植えるイベントのことである。

 国の安寧を祈願して毎年王宮の一角で行われている。参加できるのは招待状を受け取った者のみで、神殿に寄付を納めた金額の多い者から順に決定される。マナの侯爵家も当然ながら招待されている。
  
 ちなみに私の家はそれほど裕福じゃないので、寄付金の額は下から数えた方が早いだろう。だから家に招待状は来てないが、私だけは聖女という立場を利用してこの場に来ている。

 会場を見渡すと、最前列に近い位置ににマナの姿があるのを確認した。いつものマナなら私の姿を見掛けた途端、寄って来て嫌味の1つでも言いに来るところだが、今日はそれどころではないようだ。

 なにやら思い詰めたような表情を浮かべている。そんなマナを見詰めている時だった。

「あら? 聖女様もお越しになっていたんですのね?」

「ララ様...ご機嫌よう...」

 侯爵家であるララの家も呼ばれていたのか。

 不味いな...もしかしなくてもこれから騒ぎになるって時に...怪我でもされたら後味が悪くなる。

 そんなことを言う訳にもいかないので、私はなるべくララの側から離れずに、何かあったらすぐ避難させようと思った。

 

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