嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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「騒がしいようだけど何かあった!?」

「聖女様! いいえ、なんでもありません! お騒がせして申し訳ありませんでした!」

「そう。ならいいけど。では時間なのでお祈りを捧げましょうか」

「はいっ!」

 外面の良いセナは元気良く返事をする。本当はレイを虐げていることを注意したいところなんだが、あからさまに私が誰か一人に肩入れする訳にもいかない。

 レイのことは可哀想だとは思うが、私にしてあげられるのはこのくらいしかない。だが聖女に選ばれさえすれば、貴族に準じる立場になれるので、このような差別を受けることもなくなる。

 昔は貴族のみが聖女に選ばれていたらしい。だがセナのような選民意識の強い聖女が相次いだ結果、次第に人心は離れ教会の権威は地に落ちたそうだ。

 それからは貴賤を問わず、聖女に対する門戸を開くようになって、現在の形になって行ったとのことだ。

 だからレイも、聖女になるまでは大変だろうが頑張って欲しいと思う。今の所、聖女見習いの中ではレイの評価が一番高い。それだけ真面目に修行しているということだ。

 対してセナ達の評価は最低だ。修行はサボり気味だし、不平不満を訴えることも多い。なにより心根の汚い者は聖女に相応しくない。

 聖女の修行は厳しい。朝は夜明けと共に起床して、すぐに朝のお祈りを1時間行う。それからは神殿の周りをキレイに掃除して精進料理のみの朝食を取る。

 そこから昼までは滝行で身を清め、昼のお祈りを1時間行う。それから精進料理のみの昼食を取る。そこから晩までは奉仕活動として孤児院の慰問や街の清掃、貧民街での炊き出しなど。活動は多岐に渡る。

 それから晩のお祈りを1時間行う。そして夕食に少しだけ玉子や肉、魚が出る。厳しい毎日の中、この時間が唯一の楽しみだと言えるだろう。朝が早いので消灯時間は早い。こんな生活を毎日続けるのだ。

 修行の厳しさに耐え切れず、逃げ出す少女達は後を絶たない。その厳しさを乗り越えた者にのみ聖女としての資格が与えられる。

 だがこんな生活をまだ年若い少女達が毎日続けていたら、そりゃあストレスも溜まるだろう。可哀想に、レイはきっとそのストレスの捌け口にもされているのだと思う。

 私は一心不乱に祈りを捧げる少女達を眺めながら、どうすればレイに対する虐めが軽くなる、若しくは無くなる方向になるかを考えていた。今のままではレイが潰れてしまいかねない。

 そんな時だった。無心で祈っているはずのセナの心の声が聞こえて来た。

 それは驚くべき内容だった。
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