嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 あの誘拐事件から二週間が経過した。

 私はその間、学園を休んでいる。ショックを受けているだろうから無理をするのは良く無いと言われたのと、あること無いこと噂されるのを避けるためだ。

 いくら私が何も無かったんだと叫んでも、拐われて監禁されたのは事実な訳で。噂好きの貴族社会に於いては格好のネタになる訳だ。

 憶測であれこれ噂する輩が後を絶たないだろうということで、少なくとも関係者に対する処罰が決定するまでは、外に出ない方良いと言われた。

 そして本日、ついに処罰が決定した。まずカナは、この国の北にある『最果ての修道院』と呼ばれる修道院行きとなった。罪を犯した貴族女性が生涯に渡って幽閉される場所である。

 厳しい処罰となったが、再三に渡って注意されたにも関わらず、更に罪に罪を重ねたのだから同情の余地は無いだろう。

 そしてルイス王子は廃嫡となった。王族の籍からも抜かれ、子を成せない体にされた後、辺境の地にて国境警備の仕事に就かされることになった。

 王族に対する処罰としては異例のスピードで決定した。実はルイス王子は他にも色々と問題を起こしていたのだとか。次に何か仕出かしたら厳しい処分が下されるだろうと言われていて、後が無い状態だったらしい。

 後継争いにおいても王族として居続けるためにも、聖女である私を力ずくでもモノにして、一発逆転を狙ったんだろうが、そんな極端な思考に陥ること自体が浅はかであるとしか言いようがない。

 実際襲われそうになった私から見れば、そんな下らない自己中な考えで汚されたんじゃ堪ったもんじゃない。ケダモノと同じじゃないか。私は最初、絶対に許さないつもりでいた。

 だが、王族の方々から直々に謝罪を受けたので、仕方なくこの程度の処罰で許してあげようと態度を軟化した。感謝して欲しいくらいだ。命があるだけ有り難いと思え。

 ともあれ、これで関係者の処罰は決定し後日公表されるので、私に対する噂も徐々に下火になることだろう。

 私は明日から学園に復学する予定だ。休んでいる間、カルロは毎日ウチを訪ねてくれて、学園の様子を知らせてくれた。

 カルロによると、まだ公表されていないにも関わらず、ルイス王子に対する処罰に関しての情報は既に漏れているようで、またルナがカルロの周りをウロチョロし始めたらしい。

 ルナらしいと言えばそれまでだが、リズやミラはまだルイス王子に対して傷心中だと言うのに逞しい限りだ。私は思わず苦笑してしまった。

 取り敢えず、また騒がしい学園生活になるのは間違いないようである。

 

 

 
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