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「いい加減にしてくれないかな」
聞いたことも無いような低く冷たい声でそう言ったカルロは、カナの腕を振り払うように突き放した。勢いで後ろに仰け反ったカナは、信じられないというような顔でカルロを見詰めた。
「か、カルロ様、な、なんで...」
「カナ嬢、君の態度は目に余る。淑女として相応しくない。学園では多少大目に見ていたが、このような公の場所でも堂々と馴れ馴れしくされるのは我慢ならない。非常に不愉快だ。二度と僕に近寄らないで貰おうか。もちろん学園でも同じだ。いいな?」
カルロから絶縁宣言とも言えるべき言葉で詰られたカナは、唇を噛み締めながらプルプルて震えていた。
「リタ、行こうか」
カルロに腕を取られてその場から離れた私は、去り際にカナから鬼のような目で睨まれた。聞きたくなかったが、聞こえてしまったカナの心の声はと言えば...
『殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる...』
延々と私への呪詛にまみれていて、聞いた私は背筋が凍る思いだった...
「リタ!? どうしたんだい!? こんなに震えて...大丈夫かい!?」
「カルロ...実は...」
震えが止まらなくなった私を、カルロは優しく抱き締めてくれた。だから私はカルロに、カナの心の声を聞いたことを除いて、カナから殺意の籠った視線を向けられてから、震えが止まらないことを正直に話した。それくらい怖かったのだ。
「そうか...あの女...よくもリタを怖がらせるようなことを...」
カルロは、マナに引き摺られるようにして連れ去られて行くカナを忌々しそうに睨みながら、
「リタ、心配要らないからね。あの女の実家である侯爵家に我が公爵家から圧力を掛けて、あの女の行動を制限するように厳しく言っておくから」
「う、うん...ありがとうカルロ...」
カルロが本気だ。カナは怒らせてはいけない人を怒らせたね。
「そうだ! これから学園への登下校の時は、ウチの馬車で送り迎えすることにしよう!」
「そんな! 悪いわよ! 回り道になっちゃうわ!」
カルロの家から私の家までは結構離れているのだ。
「気にしないで。そうしないと僕が安心できないから。それにリタと一緒に居られるのは嬉しいことだからね」
「カルロ...」
私はカルロの気持ちが嬉しくて泣きそうになった。
「あと学園に居る間は決して一人にならないように注意してね?」
「分かったわ」
その後、お茶会どころじゃなくなった私達は、申し訳ないけどララに断ってその場を後にした。
聞いたことも無いような低く冷たい声でそう言ったカルロは、カナの腕を振り払うように突き放した。勢いで後ろに仰け反ったカナは、信じられないというような顔でカルロを見詰めた。
「か、カルロ様、な、なんで...」
「カナ嬢、君の態度は目に余る。淑女として相応しくない。学園では多少大目に見ていたが、このような公の場所でも堂々と馴れ馴れしくされるのは我慢ならない。非常に不愉快だ。二度と僕に近寄らないで貰おうか。もちろん学園でも同じだ。いいな?」
カルロから絶縁宣言とも言えるべき言葉で詰られたカナは、唇を噛み締めながらプルプルて震えていた。
「リタ、行こうか」
カルロに腕を取られてその場から離れた私は、去り際にカナから鬼のような目で睨まれた。聞きたくなかったが、聞こえてしまったカナの心の声はと言えば...
『殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる...』
延々と私への呪詛にまみれていて、聞いた私は背筋が凍る思いだった...
「リタ!? どうしたんだい!? こんなに震えて...大丈夫かい!?」
「カルロ...実は...」
震えが止まらなくなった私を、カルロは優しく抱き締めてくれた。だから私はカルロに、カナの心の声を聞いたことを除いて、カナから殺意の籠った視線を向けられてから、震えが止まらないことを正直に話した。それくらい怖かったのだ。
「そうか...あの女...よくもリタを怖がらせるようなことを...」
カルロは、マナに引き摺られるようにして連れ去られて行くカナを忌々しそうに睨みながら、
「リタ、心配要らないからね。あの女の実家である侯爵家に我が公爵家から圧力を掛けて、あの女の行動を制限するように厳しく言っておくから」
「う、うん...ありがとうカルロ...」
カルロが本気だ。カナは怒らせてはいけない人を怒らせたね。
「そうだ! これから学園への登下校の時は、ウチの馬車で送り迎えすることにしよう!」
「そんな! 悪いわよ! 回り道になっちゃうわ!」
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「気にしないで。そうしないと僕が安心できないから。それにリタと一緒に居られるのは嬉しいことだからね」
「カルロ...」
私はカルロの気持ちが嬉しくて泣きそうになった。
「あと学園に居る間は決して一人にならないように注意してね?」
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その後、お茶会どころじゃなくなった私達は、申し訳ないけどララに断ってその場を後にした。
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