嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 次の日、廊下を歩いていた私の耳に、

『クフフッ! もうすぐリタのヤツがその角を曲がって来るわ! 私がここに潜んでいるとも知らずにね! そうしたら偶然を装おって思いっきりぶつかってやるわ! 見てなさい! 澄ました顔していられるのも今の内よ!』

 カナの心の声がしっかり届いていた。カルロに近付けないからか、どうやら方向性を変えて私に直接嫌がらせをすることにしたらしい。

 悪いけど私に不意打ちは効かないよ? 来た道を戻ろうとした私は、ちょうどいい人物が歩いて来たのを見て考えを変えた。

 その人物に見付からないよう、廊下の影に潜んでやり過ごす。やがてその人物は私に気付かず歩いて行く。私はその後ろにそっと付ける。すると...

「おりゃあっ! あ~らごめんなさい♪ 私ったらついうっかり...ってマナ!? な、なんであんたがここに...」

「あっ痛たたたっ! な、なんでじゃないわよ! カナ! あんた! なんてことすんのよ! 私になんか恨みでもある訳!?」

「ち、違っ! これは違くて! そ、そんなつもりじゃなくて!」

「言い訳無用っ! あんたちょっとこっちに来なさい!」

「あっ痛たたたっ! み、耳を引っ張らないで~!」

「やかましい!」

 良し良し。上手く行った♪ 実は同じ侯爵令嬢でもマナの家の方がカナの家より歴史が古くて、その分家格もマナの家の方がやや上なんだよね。

 だから力関係は今見た通り。マナとカナの関係は友達同士っていうよりも主従関係に近いものがあるんだよね。しっかりとマナに躾て貰いなさいな♪

 ざまぁ!


◇◇◇


 次の日、移動教室のため新校舎から旧校舎へと移動していた私の耳に、

『クフフッ! 今日こそ失敗しないわよ! このバケツ一杯の汚水をぶっ掛けてやるわ! 見てなさい! みすぼらしい濡れネズミにしてやるわ!』

 上を見ると二階の教室にバケツを手に持ったカナの姿があった。懲りないヤツだな...私には効かないっての。

 当然私はその下を回避して歩いていたのだが、そこに...

「聖女様~! ご一緒致しましょう~!」

 ララがやって来てしまった。危ないっ! と叫ぶ暇もなかった。

 ザバァッ!

「あ~ら♪ ごめんなさい♪ 下に人が居たなんて♪ 私ったらうっかりさん♪ テヘペロ♪ って、あ、あら!?」

 濡れネズミ状態になってしまったララが、鬼のような目でカナを睨み付ける。

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」

「小娘ぇ! そこを動くんじゃないわよぉ~!」

 ララは脱兎の如く二階まで駆け上がってカナを折檻したとさ♪ チャンチャン♪

 ざまぁ!


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