嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 放課後になった。

 クラスの違うカルロが迎えに来るのを待っていたら、なぜかクラスどころか学年すら違うカナがやって来た。昼食時、あれだけララに嗜められたのだから、さすがに今日はもう来ないと油断していたら、

「カルロ様ぁ~♪ 一緒に帰りましょう~♪」 

「か、カナ嬢!? な、なんでここに!?」

「カルロ様の教室からずっと後を尾けて来ましたの~♪」

 甘かった...私の所にやって来たカルロにカナが突撃している。しかもまたまた距離感が近い! だからそれは抱き付いているんだっての! 全然懲りてねぇじゃんか!

 さすがに抗議しようと思ったその時だった。

「ちょっとあなた! 制服のリボンの色を見るに新入生よね!? 上級生のクラスで一体なにをやってるの! カルロから離れなさい!」

 ルナの方が早かった。

「な、なによ!? 誰よあんた!? どこの家よ!?」

「黙らっしゃい! 先輩に対してなんて口の利き方よ!」

「んなっ!? あ、あんた私のこと誰だと思って」

「あんたのことなんか知らないわよ!」

 ...ちなみにルナは私と同じ伯爵令嬢のはずなんだが...侯爵令嬢のカナを知らないってそれでいいのか...

「あ、あんたねぇ! いい加減にしなさいよ! 私は」

「あんたがどこの誰だって関係ないのよ! ここは学園なんだから! あんたは後輩! 私は先輩! これが全てよ! 分かったらさっさとカルロから離れなさい!」

 正論である。学園で学ぶ生徒である以上、そこに家柄や家格による差別はあってはならないと学園では謳っている。実際には中々そう簡単には行かないんだけどね。しがらみが多くて。

 だからこそルナのこの行動は、ある意味尊敬に値するものなのかも知れない。その勢いに押されたのか、渋々といった感じでカナがカルロから離れた。

「よろしい! 分かればいいのよ! でもあなたには躾が必要ね! 今から購買に行ってアンパン買って来なさい! 5分以内で!」

 昭和のヤンキーか!

「ふ、ふざけんじゃないわよ! な、なんで私がそんな」

「お黙り! 先輩の言うことが聞けないっての!?」

「ぐぅ.. わ、分かったわよ! 買ってくればいいんでしょ!」

 お前も素直に行くんかい!


~ 大体4分後 ~


「ハァ...ハァ...か、買って来たわよ...こ、これでいいんでしょ...」

「お前ぇ! 気が利かねぇなぁ! アンパンと言ったら牛乳が付きもんじゃねぇか! もういっぺん行って来いやぁ!」

 だから昭和のヤンキーか!

「あ、あんた、いい加減にしなさいよ!」

 またもやギャアギャア騒ぎ出した二人を尻目に、

「カルロ、帰りましょうか」

「あぁ、うん...でもあれ放っておいていいのかな...」

「いいんじゃない? 楽しそうだし」

 私達はそっとクラスを後にした。
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