嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 その夜遅く、みんなが寝静まった頃だった。

 私は中々寝付かれず、やっとウトウトし始めた時に、

「ギィヤァァァッ!」

 男の野太い悲鳴に叩き起こされた。悲鳴は私が泊まるはずだった部屋から響いて来た。そう、私はあの時付いて来てくれた神官にこう言ったのだ。

『すいません、私の部屋のベッドが柔らか過ぎて落ち着かないんです。良ければ部屋を代わって頂けませんか?』

 神官は快く承知してくれた。その結果がこれなんだが...私は急いで身仕度を整え、悲鳴が響いた部屋へと向かう。すると声を聞き付けた伯爵邸の使用人達、それに伯爵本人まで集まって来ていた。部屋の中に目を向けると...

「ち、違う! こ、これは違うんだ!」

「カール...お前なんてことを...」

 そこにはベッドで半裸になっている神官と、その上に覆い被さっている全裸のカールの姿があった。うわぉ♪ 目のやり場に困るわぁ♪ なんちゃって♪

「まさかお前が男色家だったなんて...」

 伯爵は頭を抱えてしまった。まぁ無理もないよね。嫡男が男色家って...とんでもないスキャンダルだもんね...そんな訳ないんだけどさ♪ コイツめっちゃ女好きよ♪
 
「た、だから違うんだって! お、親父! 信じてくれよ!」

「この状況でなにをどう信じれば良いっていうんだ! この恥知らずがぁ!」

「い、いやだから! こ、この部屋は本当は違くて...」

「なにがどう違うって言うんだ!」

「た、だからその...」

 プークスクス♪ そりゃ言えないよねぇ♪ 聖女の部屋だと分かっていたから夜這いしましたなんて♪

「ええい、もういい! とにかく貴様はしばらく謹慎しとれ! 部屋から出ることは許さん!」

「そ、そんなぁ...」

「おい! 誰かコイツを連れて行け!」

「ハッ!」

 使用人に引き摺られて行くカールは「違う...違うんだ...」とブツブツ呟きながら、連れて行かれた。ざまぁ!

「聖女様、愚息がご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。もう大丈夫ですので、どうぞごゆっくりお休み下さい」

「は、はい。ご丁寧にどうも...」

 フウッ...これで一件落着かな...あぁ疲れた...私も部屋に戻って寝直すか...

「うぅ...もうお婿に行けない...」

 あっ...忘れてた...私の身代わりになってくれた神官の心のケアをしてやらないとね...

 結局、この神官には先に帰って貰うことにした。王都でカウンセラーに診て貰うために。

 いやもう本当にゴメン...私が言う資格は無いかも知れないけど...どうかお大事に...

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