32 / 83
32
しおりを挟む
その夜遅く、みんなが寝静まった頃だった。
私は中々寝付かれず、やっとウトウトし始めた時に、
「ギィヤァァァッ!」
男の野太い悲鳴に叩き起こされた。悲鳴は私が泊まるはずだった部屋から響いて来た。そう、私はあの時付いて来てくれた神官にこう言ったのだ。
『すいません、私の部屋のベッドが柔らか過ぎて落ち着かないんです。良ければ部屋を代わって頂けませんか?』
神官は快く承知してくれた。その結果がこれなんだが...私は急いで身仕度を整え、悲鳴が響いた部屋へと向かう。すると声を聞き付けた伯爵邸の使用人達、それに伯爵本人まで集まって来ていた。部屋の中に目を向けると...
「ち、違う! こ、これは違うんだ!」
「カール...お前なんてことを...」
そこにはベッドで半裸になっている神官と、その上に覆い被さっている全裸のカールの姿があった。うわぉ♪ 目のやり場に困るわぁ♪ なんちゃって♪
「まさかお前が男色家だったなんて...」
伯爵は頭を抱えてしまった。まぁ無理もないよね。嫡男が男色家って...とんでもないスキャンダルだもんね...そんな訳ないんだけどさ♪ コイツめっちゃ女好きよ♪
「た、だから違うんだって! お、親父! 信じてくれよ!」
「この状況でなにをどう信じれば良いっていうんだ! この恥知らずがぁ!」
「い、いやだから! こ、この部屋は本当は違くて...」
「なにがどう違うって言うんだ!」
「た、だからその...」
プークスクス♪ そりゃ言えないよねぇ♪ 聖女の部屋だと分かっていたから夜這いしましたなんて♪
「ええい、もういい! とにかく貴様はしばらく謹慎しとれ! 部屋から出ることは許さん!」
「そ、そんなぁ...」
「おい! 誰かコイツを連れて行け!」
「ハッ!」
使用人に引き摺られて行くカールは「違う...違うんだ...」とブツブツ呟きながら、連れて行かれた。ざまぁ!
「聖女様、愚息がご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。もう大丈夫ですので、どうぞごゆっくりお休み下さい」
「は、はい。ご丁寧にどうも...」
フウッ...これで一件落着かな...あぁ疲れた...私も部屋に戻って寝直すか...
「うぅ...もうお婿に行けない...」
あっ...忘れてた...私の身代わりになってくれた神官の心のケアをしてやらないとね...
結局、この神官には先に帰って貰うことにした。王都でカウンセラーに診て貰うために。
いやもう本当にゴメン...私が言う資格は無いかも知れないけど...どうかお大事に...
私は中々寝付かれず、やっとウトウトし始めた時に、
「ギィヤァァァッ!」
男の野太い悲鳴に叩き起こされた。悲鳴は私が泊まるはずだった部屋から響いて来た。そう、私はあの時付いて来てくれた神官にこう言ったのだ。
『すいません、私の部屋のベッドが柔らか過ぎて落ち着かないんです。良ければ部屋を代わって頂けませんか?』
神官は快く承知してくれた。その結果がこれなんだが...私は急いで身仕度を整え、悲鳴が響いた部屋へと向かう。すると声を聞き付けた伯爵邸の使用人達、それに伯爵本人まで集まって来ていた。部屋の中に目を向けると...
「ち、違う! こ、これは違うんだ!」
「カール...お前なんてことを...」
そこにはベッドで半裸になっている神官と、その上に覆い被さっている全裸のカールの姿があった。うわぉ♪ 目のやり場に困るわぁ♪ なんちゃって♪
「まさかお前が男色家だったなんて...」
伯爵は頭を抱えてしまった。まぁ無理もないよね。嫡男が男色家って...とんでもないスキャンダルだもんね...そんな訳ないんだけどさ♪ コイツめっちゃ女好きよ♪
「た、だから違うんだって! お、親父! 信じてくれよ!」
「この状況でなにをどう信じれば良いっていうんだ! この恥知らずがぁ!」
「い、いやだから! こ、この部屋は本当は違くて...」
「なにがどう違うって言うんだ!」
「た、だからその...」
プークスクス♪ そりゃ言えないよねぇ♪ 聖女の部屋だと分かっていたから夜這いしましたなんて♪
「ええい、もういい! とにかく貴様はしばらく謹慎しとれ! 部屋から出ることは許さん!」
「そ、そんなぁ...」
「おい! 誰かコイツを連れて行け!」
「ハッ!」
使用人に引き摺られて行くカールは「違う...違うんだ...」とブツブツ呟きながら、連れて行かれた。ざまぁ!
「聖女様、愚息がご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。もう大丈夫ですので、どうぞごゆっくりお休み下さい」
「は、はい。ご丁寧にどうも...」
フウッ...これで一件落着かな...あぁ疲れた...私も部屋に戻って寝直すか...
「うぅ...もうお婿に行けない...」
あっ...忘れてた...私の身代わりになってくれた神官の心のケアをしてやらないとね...
結局、この神官には先に帰って貰うことにした。王都でカウンセラーに診て貰うために。
いやもう本当にゴメン...私が言う資格は無いかも知れないけど...どうかお大事に...
11
お気に入りに追加
1,745
あなたにおすすめの小説
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。

もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません
片桐葵
恋愛
いわゆる悪役令嬢・セシルは19歳で死亡した。
皇太子のユリウス殿下の婚約者で高慢で尊大に振る舞い、義理の妹アリシアとユリウスの恋愛に嫉妬し最終的に殺害しようとした罪で断罪され、修道院送りとなった末の死亡だった。しかし死んだ後に女神が現れ7歳からやり直せるようにしてくれた。
もう一度7歳から人生をやり直せる事になったセシル。

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる