嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 昼食の席で、

「聖女様、この後のご予定はどうなっておりますか?」

「...この町の教会に赴き、祈りを捧げる予定です」

「なるほど。ではその後は?」

「...この町の孤児院に赴き、祝福を与えたいと思います」

「そうですか...ではその後は?」

「...伯爵様が歓迎の式典を開いて下さるそうですので、そちらに出席する予定です」

「そうなんですね...」

 フウッ...しつこいな...このカールって男、なんとかして私と二人っきりになろうと必死だな。まぁでも、こうやって聖女としての公式行事を熟している限り、私の周りには同行して来た神官達や聖女見習い達が居るから心配は無い。問題は夜だよね...

 私達が行事を熟している間、カールはまるで監視するかのようにずっと付いて来ていた。本当にウザいったらない。かといって付いて来るなと言える立場じゃないし、気持ち悪いけど我慢するしかない。


◇◇◇


「聖女様、こちらにいらしたのですね」

 その日の夜、歓迎式典のパーティーで人がごった返していたので、私はそれとなくカールから距離を取っていたのだが、ついに捕まってしまった。カクテルグラスを両手に持ち近付いて来る。

「一杯如何でしょうか?」

 そのグラスの中に何が入っているのか、心の声を聞くまでもない。

「せっかくですが、申し訳ありません。現在、私は聖女としての修行の一環であるアマダンの時期でして。その期間中は嗜好品を口に入れることが出来ません。何卒ご理解下さいませ」

「そうなんですか...残念です...」

 もちろん大嘘である。そんな時期なんて無いし、最初の乾杯の時からガバガバ飲んでる。

「ではあちらでお茶でも如何でしょうか? お茶は構わないんですよね?」

「いえ、お茶も嗜好品の一種ですから飲む訳には参りません。せっかくのお申し出ですが、お断りさせて頂きます。私、ちょっと疲れましたんで、部屋に戻らせて頂きますね」

「そうですか。では部屋までお送り致しましょう」

「いえいえ、ホストであられるカール様のお手を煩わすのは恐縮ですので結構です。私は一人でも大丈夫ですので」

「いえいえいえ、聖女様に何かあっては大変ですので、私めがちゃんとご案内させて頂きます」

 しつこい! いっそ蹴り飛ばしてやろうか! そんな切れそうになった私の目に、ちょうど一緒に来ていた神官の姿が映った。

「神官様にご一緒して頂きますからご安心を。カール様はどうぞパーティーにお戻り下さい。神官様! 私、ちょっと疲れましたんで部屋に戻りたいと思います。ご一緒して頂けますか?」

「畏まりました、聖女様」

 神官の一人とパーティー会場から離れる際、カールが嫌らしい目で見ていたのに気付いた。これまた心の声を聞くまでもない。だから私は、

「神官様、一つお願いがあるのですが...」
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