嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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「良い考えって?」

「これよっ!」

 リズに問われたルナが何か取り出したらしい。私は扉を少しだけ開けて中を覗いてみる。
 
「私達のバイブルとも言うべきこの小説『悪役令嬢なんか怖くない!』にちゃんと解決法が書いてあったわ!」

 あの小説ってそんなタイトルだったんだ。どうでもいいから覚えてなかったよ。ってか、私が悪役令嬢だっていう設定はまだ残ってたんだね。すっかり忘れてたよ。

「どんな方法ですの? 言い辛いですがルナ様は悉く失敗して、ストーリー通りにはなっておりませんよね?」

 ミラが冷静にツッコミを入れる。

「今まではね! 憎ったらしいことにあの女、ヤケに勘が鋭いのよ!『階段落ち』も『噴水流し』も上手く行かなかったわ! でもね、これからはそうじゃない! あんた達が協力してくれればきっと上手く行くわ!」

「「 協力って? 」」

「いい? 今までの私はあの女に濡れ衣を着せるために、あの女のアリバイが無い所で事に及んでいたんだけど、それが間違いだったのよ! あの女にアリバイがあっても良かったの! だってこの本にもちゃんと書いてあるもの! 悪役令嬢は自分では手を下さず、手先にやらせるって!」

「えっとつまり...何が言いたいの?」

「つまり! あんた達が悪役令嬢の手先になって、私を虐めていたってことにすればいいのよ! リズの場合だったら『お姉様に脅されて仕方なく』ミラの場合だったら『将来、お義姉様になる人に命令されて仕方なく』という体を装うのよ! どうよ!? これで完璧じゃない!?」

「な、なるほど...」

「良いかも知れませんね...」

 リズとミラの二人がすっかり丸め込まれたか...これはちょっと厄介だな...ルナのクセに中々やるじゃないか...ルナのクセに!

「そうと決まれば早速『教科書破り』から行くわよ!」

「「 お、お~...」」

 その後三人は、ルナの教科書を三人がかりで切り裂き始めた。カッター片手に黙々と教科書を切り裂く姿は、異様な感じがしてかなり怖かった。すると、

「ねぇ、どうせだったらルナの机とか椅子も傷付けちゃわない? その方がリアルさも増すんじゃないかしら!」

「それいいわね! 採用!」

 リズの提案をルナが快諾した。これはチャンスだ! 教科書は私物だからどう扱っても罪に問われないだろうが...それでも精神鑑定を受けるかもだけど...学校の備品を傷付けたら器物破損の現行犯だ。私はすぐさま職員室に駆け戻って先生に知らせた。

 その結果、三人娘は揃って停学になったとさ。

 ざまぁ!
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