嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

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 今夜は公爵家主宰の舞踏会に招待されている。

 パートナーにカルロを伴って、ホストである公爵令嬢のミカに挨拶する。ちなみにコイツもカルロを狙っている。ただし公爵令嬢ともなれば、当然既に婚約者が居る。ちゃんと隣にパートナーを侍らせている。

 それでも尚、カルロを狙っている理由はなんのことはない、カルロの方が圧倒的にイケメンだからだ。全く持って節操の無い女である。

「ミカ様、今宵はお招き頂きましてありがとうございます」

「ようこそお越し頂きました。ごゆっくり楽しんで下さいませ。フフッ、それにしてもお二人は本当にお似合いのカップルですわね。羨ましいですわ」

「まぁ、ありがとうございます。ミカ様方もとっても素敵ですわ」

「「 ホホホッ! 」」

 ...こう言った貴族の化かし合いは本当に疲れる...もちろん、実際はこうだ。

『フンッ! あんたなんかとカルロが釣り合う訳ねぇだろ! 全然似合ってねぇっての! カルロに相応しいのはこの私よ! あんたには私の隣に居るこのボンクラがお似合いだっての! フフフッ! でも助かったわ! このボンクラが、物好きにもあんたのことを気に入ってくれて! お陰でとっても良い作戦を思い付いたんだもの! 私がカルロとあんたを引き離して、その隙にこのボンクラがあんたを誘う! そこであんたに即効性の媚薬入りカクテルを飲ませて、このボンクラがあんたを別室に連れ込めば、あとは既成事実まっしぐらよ! フフフッ! あんたは今日で終わりよ! このボンクラと仲良くやりなさい! 私がカルロを慰めてあげるから! そして何れは...ムフフ♪ 我ながら完璧な作戦よね! さぁ、私の手の平の上で踊りなさ~い♪』

 ...清々しい程のクズだな...この女どうしてくれよう...そもそもパートナーを入れ替えようだなんて考える方がどうかしてるし、唯々諾々とこの女に従ってるこのボンクラにも怒りが湧いて来る。

 思い知らせてやろう。自分達がどれほどクズかってことを。


◇◇◇


 私はファーストダンスをカルロと踊った。1曲目はパートナーと踊ることになっている。曲が終わりに近付いて来た頃、ミカとボンクラがこっちに寄って来た。2曲目はパートナーを替えようと言って来るつもりなんだろう。だがそうは問屋が卸さない。

 私はカルロの耳元で囁く。

「ねぇカルロ。もう1曲一緒に踊ろう?」

「喜んで!」

 こうして2曲目もカルロと踊った。ミカとボンクラが歯噛みしているのが見える。やがて2曲目も終わりに近付いて来た。またまたミカとボンクラが寄って来る。

 私はまたまたカルロの耳元で囁く。

「ねぇカルロ。私、喉が渇いちゃったわ。何か飲まない?」

「喜んで!」

 私達はダンスフロアを後にしてカクテルコーナーに向かった。ミカとボンクラも慌てて付いて来る。

 さぁ、本番はこれからだ!
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