嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

文字の大きさ
上 下
10 / 83

10

しおりを挟む
 ようやくルナが登校して来た。

 どうやら風邪を拗らせていたらしい。心無しか痩せたように見える。自業自得なのでどうでもいいけど。すると早速、私の所にやって来た。

「リタ~! 心配掛けてゴメンね~! もう大丈夫だから~!」

「良かった~! 心配してたのよ~! 無理しないでね~!」

 表面上は当たり障りのない会話を交わしているように聞こえるが、もちろん実際はこうだ。

『フンッ! なあにが心配してただよ! 見舞いにも来なかったクセに! いや、お前になんか見舞いに来て欲しくなかったけど、カルロを連れて来るとか出来ただろうよ! 気が利かねぇヤツだな! ホント使えねぇ! そんな女、カルロに相応しくねぇっての! さっさと私に譲れっての!』

 誰が譲るか! ふざけんな! ちなみにカルロには、ルナがずっと休んでいたことを伝えていない。その間、カルロからルナの話題が出ることすらなかった。居ないことに気が付いてすらいなかったはずだ。

 つまり、そもそもがカルロにとってルナはアウトオブ眼中な訳で、それに気付いていないのは本人のみと言うことになる。ホントおめでたいヤツだと思う。


◇◇◇


 お昼休みになった。私とカルロが食堂に行くと、当然のようにルナが付いて来る。カルロに、

「あれ!? ルナ!? 久し振りだね。なんかあったの!?」

 そう言われて絶句するルナ。プークスクス♪ そこへ、ルナが登校して来たのを知らなかったんだろう、リズとミラが当たり前のようにやって来てビックリしていた。

「ルナ~! 良かった~! 元気になったのね~!」

「ルナ~! 心配してたのよ~! 大丈夫~? 無理しないでね~!」

 ルナは顔を若干引き攣らせながらも答える。

「二人ともありがとう~! 心配掛けてゴメンね~! もう大丈夫だから~!」

 表面上はニコニコしながら会話しているが、もちろん実際はこうだ。

『クソがっ! ずっと休んでりゃいいものを! ノコノコやって来んじゃねぇよ! そんで当たり前のようにカルロ様の隣に座ってんじゃねぇ! そこは私の席だっての!』

『チッ! 生きてやがったのかよ! 死ねば良かったのに! ゴキブリ並みにしぶてぇ野郎だな! そんで早速お義兄様にベタベタしてんじゃねぇよ! 殺すぞ!』

『こ、コイツら~! 私が居ない隙にカルロを独占しようと思ってやがったのか!? ふざけんじゃねぇ! 私が復活したからにはカルロをてめえらになんか渡すもんか! カルロは私のもんだ! 私が守ってみせる!』

 いやこれってどういうカオス?

 私はため息を吐くしかなかった...
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。

石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。 やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。 失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。 愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。

もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません

片桐葵
恋愛
いわゆる悪役令嬢・セシルは19歳で死亡した。 皇太子のユリウス殿下の婚約者で高慢で尊大に振る舞い、義理の妹アリシアとユリウスの恋愛に嫉妬し最終的に殺害しようとした罪で断罪され、修道院送りとなった末の死亡だった。しかし死んだ後に女神が現れ7歳からやり直せるようにしてくれた。 もう一度7歳から人生をやり直せる事になったセシル。

処理中です...