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「ねぇ、カルロ。ミラのことなんだけど、もしかしたら精神的な病なのかも知れないわ」
 
「精神的?」

「えぇ、普段は普通に生活できているんでしょ? 私に診察させてくれないからハッキリとは言えないけど、体の方はなんともないと思うのよね」

「そうなのかな...」

「考えてみて? ミラの具合が悪くなるのはどんな時? 私がカルロに会いに行く時とカルロが私に会いに来る時じゃない?」

「た、確かに...」

「ね? 両方とも私が絡んでいるのよ。だから私思ったの。ミラは私にカルロを獲られるのが嫌で、思い詰めてしまった結果、心を病んでしまい、それが体に良くない影響を与えてしまっているんじゃないかってね」

「な、なるほど...」

「あなたに側に居て欲しいって言ってるのが証拠じゃないかしら? 甘えているだけだと思うのよ。いつまで経っても義兄離れ出来ないのは良くないことだわ。だからね、こうしてみるのはどうかしら?」

 私がカルロに説明すると、カルロは「さすがはリタだね!」と目を輝かせていた。


◇◇◇


 その日、いつものようにカルロの家にお呼ばれして、いつものようにミラが体調を崩す。私はミラの部屋のドアの隙間からそっと覗いてみる。

「お義兄様、苦しいのです...側に居て貰えませんか?」

「ミラ、僕は医者じゃないから側に居ても治してあげることは出来ないよ? 医者を呼ぼうか?」

「お医者様は嫌です...お義兄様が側に居てくれれば楽になりますから...」

「そう思って今日は特別な医者を用意してみたんだ」

「へっ!?」

「入ってくれ」

「「「  失礼します!  」」」

「な、なんなのこの人達...」

「君の病は精神的なものかも知れないんだ。ほら、良く言うだろ? 病は気からだって。そこで心の専門家の皆さんに集まって貰ったんだ」

「精神科医です」「カウンセラーです」「セラピストです」

「この人達が君のトータルヘルスケアをサポートしてくれるから、大船に乗ったつもりで身を任せてみなさい」

「い、いえ、私はお義兄さえ居て下されば...」

「ダメだよ。僕じゃ君の心のケアは出来ない。専門家じゃないからね」

「で、でもでも~...わ、私、知らない人は怖くて...」

「それも慣れないとダメだよ。僕がいつまでも君の側に居てやれる訳じゃないんだから」

「そ、そんなぁ~...」

「じゃあ君達、後は頼むよ」

「「「 お任せ下さい! 」」」

「お、お義兄様~!」

 これを2、3回繰り返したら、私がカルロの家に行っても、カルロが私に会いに来ても、ミラは体調を崩したと言わなくなったとさ。

 ざまぁ!
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