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第159話 第三者視点 風竜の試練 その3
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翌朝、懸念していた高山病の症状は表れず、アリシアは少しだけホッと息を吐いた。
~ 4000m付近 ~
この辺りから試練が牙を剥き始める。まず天候。昨日まであんなに良かった天気が今日は一転、横殴りの風が容赦なく吹き付け雪も舞って来た。気温も急激に下がっている。
斜面はほとんど垂直に近くなり、アリシアは斜面にへばり付くような格好で登っていた。
「クルル...」
同行して来たメルが、ここで初めて不安そうに鳴いた。基本、メルは何かあった時にアリシアを助けるというだけで、登山そのものに関しては一切手助けしない。
そういうスタンスで行こうと出発前に決めてあった。
「メル、大丈夫。心配しないで」
アリシアはわざと強がって笑顔を見せた。実際はそんな余裕などないのだが。
「フンッ!」
気合いを込めて手を上に伸ばし斜面に貫手で穴を穿つ。その穴に手を差し込んで体重を掛けて体を持ち上げる。また手を上に伸ばして貫手で穴を穿つ。
ロッククライミングと同じ要領ではあるが、これは身体強化しているアリシアにしか出来ない芸当である。
しばらく登ると、斜面にちょっとした穴が空いている場所があった。
「フウッ...ちょっと一休みするか...」
身体強化のお陰で凍傷や低体温症になる恐れはないが、寒いもんは寒いし疲れも溜まっている。アリシアは火の魔石とお茶のカップを取り出した。カップの中にそこら辺の雪を入れ火の魔石の上に載せる。やがて沸騰したお湯にティーパックを浸す。
「あぁ...生き返る~...」
熱いお茶を心行くまで堪能する。
「さて、もう一踏ん張り行きますか!」
自分自身に気合いを入れるように叫ぶと、アリシアは再び登山を開始した。
~ 4500m付近 ~
風と雪はますます激しくなり、ブリザードのようだった。ちょっと油断すると風に持って行かれそうになる。アリシアは体全体で斜面に張り付くようにして耐えた。
なるほど、これが試練か。魔物や自分自身と戦うんじゃなく自然の猛威と戦うと。上等だ! 勝ってやろうじゃないか! 人間舐めんな!
アリシアはより一層気合いを入れて一歩一歩前に進む。
「クルル...」
メルはさすが神獣と言うべきか、このブリザードの中でもビクともせずアリシアに寄り添う。心配そうな声で一声鳴いた。
頂上までもう少し。ブリザードで視界は碌に利かないが、アリシアはそう確信していた。
その時だった。
「うおっ!?」
一際強い風が吹いてアリシアの体が宙に浮く。
「クルルッ!」
メルが悲鳴を上げた。
~ 4000m付近 ~
この辺りから試練が牙を剥き始める。まず天候。昨日まであんなに良かった天気が今日は一転、横殴りの風が容赦なく吹き付け雪も舞って来た。気温も急激に下がっている。
斜面はほとんど垂直に近くなり、アリシアは斜面にへばり付くような格好で登っていた。
「クルル...」
同行して来たメルが、ここで初めて不安そうに鳴いた。基本、メルは何かあった時にアリシアを助けるというだけで、登山そのものに関しては一切手助けしない。
そういうスタンスで行こうと出発前に決めてあった。
「メル、大丈夫。心配しないで」
アリシアはわざと強がって笑顔を見せた。実際はそんな余裕などないのだが。
「フンッ!」
気合いを込めて手を上に伸ばし斜面に貫手で穴を穿つ。その穴に手を差し込んで体重を掛けて体を持ち上げる。また手を上に伸ばして貫手で穴を穿つ。
ロッククライミングと同じ要領ではあるが、これは身体強化しているアリシアにしか出来ない芸当である。
しばらく登ると、斜面にちょっとした穴が空いている場所があった。
「フウッ...ちょっと一休みするか...」
身体強化のお陰で凍傷や低体温症になる恐れはないが、寒いもんは寒いし疲れも溜まっている。アリシアは火の魔石とお茶のカップを取り出した。カップの中にそこら辺の雪を入れ火の魔石の上に載せる。やがて沸騰したお湯にティーパックを浸す。
「あぁ...生き返る~...」
熱いお茶を心行くまで堪能する。
「さて、もう一踏ん張り行きますか!」
自分自身に気合いを入れるように叫ぶと、アリシアは再び登山を開始した。
~ 4500m付近 ~
風と雪はますます激しくなり、ブリザードのようだった。ちょっと油断すると風に持って行かれそうになる。アリシアは体全体で斜面に張り付くようにして耐えた。
なるほど、これが試練か。魔物や自分自身と戦うんじゃなく自然の猛威と戦うと。上等だ! 勝ってやろうじゃないか! 人間舐めんな!
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「クルル...」
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頂上までもう少し。ブリザードで視界は碌に利かないが、アリシアはそう確信していた。
その時だった。
「うおっ!?」
一際強い風が吹いてアリシアの体が宙に浮く。
「クルルッ!」
メルが悲鳴を上げた。
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