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第106話 ちみっことドワーフの村 その8

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 門扉の所まで辿り着くと、殿下とエリオットが誰かと話している。

 身長はアタシよりちょっと高いくらい。ガッシリした体つきに顔中を埋め尽くすような髭モジャ姿。絵に描いたようなイメージのドワーフがそこに居た。

 アタシ達に気付いたドワーフがやって来る。アリシアが抱えているアダマンタイトを見て、

「おぉっ! これは素晴らしい! これ程の大きさのアダマンタイトの結晶など儂も初めて見るわい! お主らの言ってた通りじゃった!」

 そう感想を述べた後、殿下達の方を振り返る。

「だからそう言ったろ? これで信じたか?」

「スマンスマン! この通りじゃ! 許してくれ!」

 どうやら殿下達の言うことを信じられなかったらしい。

「あ、あの~...どうでもいいんだけど、私そろそろ限界なんで下ろしたいんだけど...」

 アリシアがヤバそうだ。

「おぉっ! スマンかった! おいっ! 急いで台車を持って来いっ!」

 髭モジャがそう言うと、門扉が開いて髭モジャと同じような姿のドワーフ達が大きな台車を押して現れた。

「この台車に下ろしてくれ!」

「了解! どっこいしょ~!」

 だからアリシア、お前ホントに女子高生か!?

「ウギギッ! こ、これは凄い重さじゃ!」

 台車の車輪が地面にめり込んでるけど大丈夫!?


◇◇◇


 その後、アリシアも手伝って、なんとか台車を押して村の中に入った。初めて見るドワーフの村は、まさに職人の村といった雰囲気だった。

 至る所からカンカンと鉄を叩くような音が響いて来る。あちこちの民家から煙が上がっている。こちらも絵に描いたようなイメージのドワーフの村といった感じだ。

「改めて、遥々こんな遠い所までよう来なさった。儂がここの族長、ガルムじゃ」

 さっき出迎えてくれた髭モジャさん、族長だったのね。アタシ達もそれぞれ自己紹介する。
 
「早速だが、俺達の武器を作って貰いたいんだ。そのためにアダマンタイトをわざわざ持って来たんだからな」  

「もちろんじゃ。こんな良い素材を前にして腕が鳴るわい。最高の武器を作ると約束しよう」

「良かった。よろしく頼む。ところで代金は幾らぐらい掛かりそうなんだ?」

「代金は要らん。その代わり、お主らの武器を作って余ったアダマンタイトを譲ってくれんか?」

 殿下がアタシ達を見回す。全員が頷く。ドワーフにしか扱えないんじゃ持ってたってしょうがないもんね。   

「それでいい。よろしく頼む」

「了解じゃ!」

 その後、シルベスターを除く全員の壊れた武器を渡し、これと同じような武器を作って欲しいと依頼した。

 この日はガルム族長が家に泊めてくれるとのことなので、有り難く好意に甘えることにした。族長の家に着くと、

「あれ? 父さん。お客さんなの? 珍しいね」

 中からアタシと同じくらいの身長の男の子? (疑問形なのは髭モジャだからだ) が出て来た。

「あぁ、今夜は泊まって貰うからそのつもりでな。息子のシルバじゃ。歳はお主らと同じくらいじゃから仲良くしてやってくれ」

「初めまして、シルバと言います」

 やっぱりまだ子供だったんだね。アタシ達と同じくらいの歳なのに、もう髭モジャなんだね。アタシ達も順番に自己紹介して行ったんだけど、アタシの時になんだかシルバ君の顔が赤くなったような!?

 気のせいかな!?
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