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第82話 アリシア視点 vs 闇の眷族四天王 その1

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 エリオットが行方不明になって、競技大会どころではなくなった。


 私達はエリオットの行方を探す手掛かりとして、初戦の対戦相手から話を聞こうと思ったのだが...

「昨日から意識不明?」

 ここは学園の保健室。校医の先生は困惑した様子で、

「そうなんです。体のどこにも異常は無いんですが、意識だけが戻らなくて...」

「アリシア、回復魔法を掛けてみて?」

 ミナがそう言った。私は眠っている男子生徒に魔法を掛ける。

「分かった。『セイントヒール』」

 ...意識は戻らなかった。

「ダメか...弱ったな...他に手掛かりは...」

「闇雲に探しても埒が明きませんわね...」

「実家には連絡したんですか?」

「うん、もう連絡は届いてるはずだよ」

 私はみんなが話しているのを、どこか上の空で聞いていた。エリオットのことだけを考えていた。

 前世の乙女ゲームでイチオシだった男の子。クールぶってるけど、結構抜けてるところもある。ぶっきらぼうに見えて優しいところもある。曲がったことが嫌いで融通の利かないところもあるけど、年相応にバカなこともしたりする。

 そんなことを考えている内に、なんだか胸の奥が苦しくなってきた。きっとなにかトラブルに巻き込まれているんだろう。自分一人では解決出来ないような何かに。怪我してるかも知れない。苦しんでるかも知れない。一刻も早く助けてあげたい。そして、


 (一緒にオペラを観に行くんだから!)


 私はそう決意して、なにか手掛かりはないか、もう一度眠っている男子生徒に目をやった。 

 ん? 眠ってる?

「レム~! 起きて! ねぇ起きて! お願いだから!」

 いきなり叫んだ私にみんなはビックリしてるが、悪いけど構ってられない。

『ふぁ...なによ...』

「シャキっとして! エリオットが行方不明なの! 精霊の力で居所を探せない!?」

 みんなは「あぁ、なるほど」「忘れてた」「その手があった」と口々に言ってる。私も気付くの遅れたしね。

『なんですって!? 大変じゃないの! なんでもっと早く言わないのよ! ちょっと待ってなさい!』

 なんだかんだ文句を言いつつもやってくれる。ありがとう。頼りにしてるよ。

『これは...僅かだけど闇の力を感じるわ...』

 それを聞いた途端、ミナが叫ぶ。闇の眷族が関わっていたのか...

「精霊王様~! 起きて下さい~!」

「ふぉっ! 何事じゃ!?」

「精霊王様! エリオットが行方不明なんです! 闇の眷族に拐われたのかも!」

「なんじゃと!? どれどれ...ふむふむ、確かに闇の力の痕跡を感じるの」

「場所はどこですか?」

「慌てるでない。これは...3ヵ所に分かれておるの。どこが本命かはなんとも言えん」

「それじゃあ、1つずつしらみ潰しにあたってみれば」

「まぁ待て。それだと外れた時に逃げられてしまう恐れがあるじゃろ。ここは手分けしてあたってみる方が良い」

「でもそれだと、誰か1人が孤立してしまうんじゃ?」

「2人1組であたれば良いじゃろ。ミナは儂が付いておるから1人でも大丈夫じゃ」

「分かりました!」

 こうして私達は3組に分かれることになった。殿下とシャロン様、ミナと精霊王様、私とシルベスターだ。

 エリオット、待っててね! 必ず助けるから!
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