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第75話 ちみっこと第2回総合テスト その1

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 学園祭も終わり、季節は秋めいてきた。


 第2回総合テストがそろそろ始まる。前回は『精霊の愛し子隊』が上位を独占したけど、今回は厳しいかも知れない。なぜなら困ったちゃんが一人居るからである。試験勉強を手伝って欲しいっていうから図書室に来たんだけど、

「アリシア、ここの計算間違ってる」

「あ、ホントだ...」

「こっちは文法がメチャクチャ」

「あう...」

「歴史上の人物の名前違ってる。年号も合ってない」

「ひう...」

「化学式全然違う」

「ふう...」

「...アリシア、あんた得意な科目無いの!?」

「強いて言えば漢字の書き取りが.. 」

「この世界に漢字ねぇよ...」

「ですよね...」

「あんた、もしかして高校じゃ赤点まみれだった?」

「うぐ...」

「はぁ.. それでいいのか、花の女子高生...」

「返す言葉もありましぇん...」

「いいこと? この世界の学力レベルはね、全体的に前世で言えばせいぜい中学生レベルなのよ? 高校まで行ってた学力があれば、本来なら楽勝のはずなの。なにせ漢字も平仮名も片仮名も古文も漢文も無いんだから。国語は英語だし。それも中学生レベルの。外国語はフランス語かドイツ語だけど、それも中学生どころか小学生レベルなんだよ?」

「うぅ...分かってはいるんだけど...」

「数字も化学も中学生レベルの学力があれば問題無し。歴史だけは1から覚える必要があるけど、それだって年号と人の名前と地理を覚えるくらいなんだよ? 全然大したこと無いんだよ?」

「暗記が苦手で...」

「漢字だと思って覚えなさい。書き取りは得意なんでしょ?」

「やってみます...」

「頼むから赤点だけは勘弁してよね...」

「努力します...」

 う~む...ここまで問題児だとは思わなかった...夏休みの宿題手伝った時は気付かなかったよ。でもまあ、今思うとあの時からおバカの片鱗は見せてたのかな。こりゃ困ったぞ...

「あれ? ミナにアリシア。二人も試験勉強?」

「そう、シルベスターも?」

「うん、前回より上を目指したいからね」

「良い心掛けだね。良かったら一緒にどう?」

「いいの? じゃあお言葉に甘えて。今は何をやってるの?」

「全般」

「へっ?」

「だから全般。アリシアのためにね」

「ホント、すいません...」

「そ、そうなんだ...大変だね...」

「シルベスターは?」

「ボクは暗記が苦手だから、それを重点的にね。ミナに教わった語呂合わせを駆使してやろうかなと」

「あれ覚え易いでしょ?」

「うん、とっても助かってる。ありがとう」

「どう致しまして。アリシア! 手が止まってるよ!」

「は、はい、すいません...」

 これは前途多難かも...すぐ気が散るのは集中力の問題なのかな? それならば、

「アリシア、自分の周りにだけ遮音結界張ってみて。音が遮断されれば集中出来るでしょ?」

「なるほど...やってみる」


~ 1時間後 ~


「アリシア! 寝るな!」

 バシッ!

「はうっ! すいません!」

 これは予想外だったよ...







 
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