上 下
62 / 176

第62話 ミナの日常 その4

しおりを挟む
 次の日からナギのダイエットが始まった。


 まず朝御飯。自分の分を食べ終わったナギが早速可愛く鳴いて催促を始める。

「キュイ~♪」

「マリー、上げちゃダメだからね」  

「ですが...」

「いくら可愛いからって甘やかしてたらナギのためにならないからね」

 自分の分を上げようとするマリーを止める。ここはビシッといかないとね!

「分かりました...」

「キュイ~...」

 そんな悲しそうな目で見たってダメなんだからね!


「ナギちゃん♪ おはよ~♪ お菓子食べる~?」

「キュイ~♪」

「アリシア、上げないで。間食禁止だから」

「え~? これくらいいいじゃ~ん!」

「ダイエット舐めんなっ! 禁止ったら禁止っ!」

「キュイ~...」


「ナギちゃん、おはようございますですわ。では早速ジャーキーを」

「キュイ~♪」

「シャロン様、朝からジャーキーは止めて下さい。ていうか間食禁止にしましたから」

「え~? これくらい良いじゃありませんの~!」

「ダメったらダメです」

「キュイ~...」


「ナギちゃん、おはよー お煎餅食べる?」

「ポテチもあるよ?」

「飴ちゃん食べる?」

「クッキーもあるよ?」

「キュイキュイ~♪」

 うん、これアタシ達も悪いな...ナギを甘やかし過ぎてた。

「あんた達! 今日からナギは間食禁止だって言っておいたでしょ!?」

「え~! 少しくらい太ってた方が可愛くない~?」

「ぽっちゃりしてるくらいがちょうど良くない~?」

「触るとプヨプヨしてて気持ちいい~♪」

「赤ちゃんに触ってるみたいだよね~♪」

「五月蝿いっ! とにかく禁止ったら禁止っ!」

「キュイ...」

「ミナ、ナギが落ち込んでるみたいだが、なんかあったのか?」

「あぁ、気にしないで。今日から間食禁止にしただけだから」

「間食禁止!? なんでまた!?」

 アタシはナギの体を持ち上げてエリオットに腹部を見せる。

「ほら、ポッコリお腹。だからダイエット中なの」

「そ、そうか...それは残念だ...」

 エリオットが何かを懐にしまうのが見えた。あれはチョコかな。エリオット、お前もか...


「ナギ、どうした!? 元気ないな!? そういう時は肉食え肉!」

「キュイ~♪」

「殿下、これ以上は食べさせないで下さい。今日から過食禁止です」

「えぇ~! なんでだよ~!」

 アタシは再度ナギを持ち上げ腹部を見せる。

「みんなが甘やかすからこの体たらくです。体に悪いので食べ過ぎは厳禁です」

「で、でも成長期って可能性も...」

「シルベスター、お腹だけ成長期って聞いたことあんの?」

「無いです...」

「よろしい。という訳で今後、私の許可なくナギに食べ物を与えるのは禁じます。良いですね?」

「キュイ~...」


◇◇◇


 今日の放課後の訓練はナギの運動のために、アタシはナギに乗ってシルベスターと戦うことにした。今日のお題はズバリ苦手の克服だ。飛んでる時に何が怖いかって、弓矢の攻撃以外無いからね。

 アタシはまず、ナギに3mくらいのサイズになって貰った。デカ過ぎると矢が避けられないからね。自由にサイズを変えられるナギを見て、みんなビックリしていた。

 そして魔法で作ったロープを私のベルトに引っ掛け、その先を輪っかにしてナギの首に巻き付けた。飛び回るナギから振り落とされないためだ。

「ナギ、大丈夫? 苦しくない?」

「キュイ!」

 首が締まって苦しくないかと思ったが、どうやら大丈夫みたいで安心した。

「軽く飛んで貰える? 最初はゆっくりとしたスピードでお願いね?」

「キュイ~♪」

 フワリと宙に浮き上がる。そしてゆっくりと移動を開始する。

「ナギ! 少しずつスピードを上げて行って!」

「キュイ!」

 スピードが上がるとさすがに風圧が凄い。アタシは透明バリヤを前面に展開してみた。

「うん、風は防げる。あとは...ナギ、右旋回、左旋回、宙返り、急降下、急上昇、ひと通りやってみて!」

「キュイ!」

 ちょっと怖いが、こういうアクロバティックな動きが出来なきゃ話にならない。ナギが旋回し始める。Gがキツイかと思ったがそうでもない。急上昇も急降下もジェットコースターに乗っている時よりも怖くない。体もナギに密着して安定している。

「これならイケそうだね」

 アタシは待っててくれたシルベスターの元へ向かった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!

美月一乃
恋愛
 前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ! でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら  偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!  瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。    「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」  と思いながら

転生幼女が魔法無双で素材を集めて物作り&ほのぼの天気予報ライフ 「あたし『お天気キャスター』になるの! 願ったのは『大魔術師』じゃないの!」

なつきコイン
ファンタジー
転生者の幼女レイニィは、女神から現代知識を異世界に広めることの引き換えに、なりたかった『お天気キャスター』になるため、加護と仮職(プレジョブ)を授かった。 授かった加護は、前世の記憶(異世界)、魔力無限、自己再生 そして、仮職(プレジョブ)は『大魔術師(仮)』 仮職が『お天気キャスター』でなかったことにショックを受けるが、まだ仮職だ。『お天気キャスター』の職を得るため、努力を重ねることにした。 魔術の勉強や試練の達成、同時に気象観測もしようとしたが、この世界、肝心の観測器具が温度計すらなかった。なければどうする。作るしかないでしょう。 常識外れの魔法を駆使し、蟻の化け物やスライムを狩り、素材を集めて観測器具を作っていく。 ほのぼの家族と周りのみんなに助けられ、レイニィは『お天気キャスター』目指して、今日も頑張る。時々は頑張り過ぎちゃうけど、それはご愛敬だ。 カクヨム、小説家になろう、ノベルアップ+、Novelism、ノベルバ、アルファポリス、に公開中 タイトルを 「転生したって、あたし『お天気キャスター』になるの! そう女神様にお願いしたのに、なぜ『大魔術師(仮)』?!」 から変更しました。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

こちらの世界でも図太く生きていきます

柚子ライム
ファンタジー
銀座を歩いていたら異世界に!? 若返って異世界デビュー。 がんばって生きていこうと思います。 のんびり更新になる予定。 気長にお付き合いいただけると幸いです。 ★加筆修正中★ なろう様にも掲載しています。

異世界に転生したら転生特典が言語マスターだったので、通訳になろうと思います

真理亜
恋愛
私の名はアビー。転生者だ。私が転生した世界に魔法はなく、代わりにスキルが存在していた。神からの贈り物、ギフトとも呼ばれるその能力は様々な特殊効果を発揮するが、私のギフトは言語マスターというこの世界に存在する全ての言語を理解するという能力だった。その能力を買われて王宮勤めとなる。やがて王太子付きとなり諸外国との外交に駆り出されるようになったり、養子先の家のゴタゴタに巻き込まれたり、とにかく大変な日々を過ごすことになるが、言語マスターの能力を活かしてなんとか乗り越えていく。

私、のんびり暮らしたいんです!

クロウ
ファンタジー
神様の手違いで死んだ少女は、異世界のとある村で転生した。 神様から貰ったスキルで今世はのんびりと過ごすんだ! しかし番を探しに訪れた第2王子に、番認定をされて……。

転生した愛し子は幸せを知る

ひつ
ファンタジー
 宮月 華(みやつき はな) は死んだ。華は死に間際に「誰でもいいから私を愛して欲しかったな…」と願った。  次の瞬間、華は白い空間に!!すると、目の前に男の人(?)が現れ、「新たな世界で愛される幸せを知って欲しい!」と新たな名を貰い、過保護な神(パパ)にスキルやアイテムを貰って旅立つことに!    転生した女の子が周りから愛され、幸せになるお話です。  結構ご都合主義です。作者は語彙力ないです。  第13回ファンタジー大賞 176位  第14回ファンタジー大賞 76位  第15回ファンタジー大賞 70位 ありがとうございます(●´ω`●)

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

処理中です...