乙女ゲームの世界に転生したと思ったらモブですらないちみっこですが、何故か攻略対象や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛されています

真理亜

文字の大きさ
上 下
60 / 176

第60話 ミナの日常 その2

しおりを挟む
 アリシアはアタシの攻撃を躱しながら近付いて来る。


「次は私のターン! ミナッ! いっくよ~!」

 アリシアがアタシの張った透明バリヤにパンチ攻撃を加える。

 グニャリ...

「へっ? う、腕が埋もれて!? み、ミナ、またバージョンアップした!?」

「うん、ほら、例の打撃が効かないスライムを参考に改良してみた。腕抜ける?」

「うぐっ!? ぬ、抜けない!?」

「拘束技としても使えるかなって」

「な、なるほど。でもこれは別に痛くも痒くも...へぷっ!」

 今度はアリシアが顔から突っ込んで来た。パンストを頭から被って引っ張る罰ゲームみたいにな状態になって、せっかくの美人が台無しだ。

「な、なんで後頭部に衝撃が!? あっ! ブーメラン!? な、なんで!?」

「そりゃ投げたら戻って来るっしょ」

 アホかコイツは。さて、戻って来たブーメランでタコ殴りにしてやろうかと思ったら、それを察したのか全力でアタシのバリヤから抜けやがった。チッ!

「あ、あっぶな~! 不用意に近付けないじゃん! もういい! ブーメランを避けることだけに専念する!」

「あ、そう。じゃあ次行くよ~!」

 今度は放物線を描くようにブーメランを上に投げる。頭上からアリシアを狙う作戦だ。

「ふふん♪ この程度なら余裕で避け...えっ!? 足が動かな!?...」

 うん、ゴーレムで拘束してるからね。

「こ、これじゃ避けられな...ぐえっ!」

 乙女が出しちゃいけないガマガエルみたいな声が聞こえたけど大丈夫か?

 その後もアリシアをド突き回してたら、疲れて倒れちゃったので、少し休憩を取らせてあげることにした。その間、アタシは他の連中の様子を見に行く。


◇◇◇


 まずは問題のシャロン様。今日は殿下とペアを組んでる。

「シルフ! もっとよ! もっと足に風を!」

『Yes,Ma'am!』

 どうやらシルフの加護を足元に集中させているみたいだ。それで体を加速させて攻撃している。シルフもシャロン様の指示にちゃんと従っているようだ。上手く和解出来たみたいで良かった。ちなみに今日はスカートじゃない。残念ながらラッキースケベはおあずけだ。

「うおおっ! くそっ! 速いし重い! このままじゃ押し切られる! イフリート! もっと力を!」

『......』

 対する殿下は炎を身に纏って応戦している。これも身体強化の一種なんだろうか。イフリートは安定の沈黙返しだ。それにしても熱くないの? 大丈夫? 見ているこっちがハラハラするんだけど。

「良いわよ、シルフ! その調子よ! 行くわよ、アルッ! 覚悟! 撲殺! 撲殺~!」

『Yes,Ma'am!』

「お、おい、シャロン! なんかお前、私情が絡んでないか!? 攻撃に情け容赦がなさ過ぎるぞ!?」

『......』

 お二人の未来を描いた姿に見えなくもないと思ったのは内緒にしておこう。ただあのシルフが、上官の命令に従う兵士みたいになってるのは気になるが。同じセリフしか言わないし。これじゃあまるで訓練というより調教してるみたいな...

 うん、色んな意味でここは見なかったことにしよう...


◇◇◇


 次はシルベスターとエリオットの所だ。この二人の戦いは、アタシとアリシアの戦いに通じる所がある。要はシルベスターの攻撃をかい潜って、どれだけエリオットがシルベスターに近付けるか、そこが鍵になるってことだ。

「うおおっ!」

『エリオット~ 水と火の矢は防げるわ~ 土と風の矢だけ叩き落としてね~』

「分かった!」

 ウンディーネは例のシャボン玉でエリオットを包んで、エリオットの突進をフォローするようだ。

『防御はボクに任せて、シルベスターは攻撃に専念して!』

「ありがとう! ノーム!」

 対するノームは防御に専念してシルベスターを援護するようだ。うん、この二人、良いペアに恵まれたと思う。お互いの長所と短所を補い合ってるもんね。そうこうしてる内に、エリオットがついにシルベスターへ肉薄する。

「くっ! さすがにノームの防御は硬いな! ここは一旦引いて...うわっ!」

「残念でした~♪ 逃がさないよ~♪」

 エリオットの足元をゴーレムが捕まえてる!? シルベスター、ゴーレム出せるようになったの!?

「し、シルベスター!? いつの間にゴーレムを出せるようになったんだ!?」

「特訓したからね~ まだミナ程沢山のゴーレムは出せないけど、2、3体なら出せるようになったんだ~」

「聞いてないぞ~!」

 シルベスターのドヤ顔久し振りに見たよ。アタシがゴーレム出せるようになったの悔しそうに見てたもんね。きっと一杯努力したんだろう。みんな頑張っているんだね。

 アタシも頑張らないと!





 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...