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第52話 ちみっこと水竜の卵 その8
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アタシ達は穴の底を覗き込み、顔を見合わせた。
「帰ろう。あの光が何なのか、気にはなるが俺達には関係無い。目的は果たしたんだし、こんな所にいつまでも居る理由も無い」
「そうなんですけど...」
確かに殿下の言うことは正論ではあるんだけど、なんかこうしっくり来ないっていうか、やり残したことがあるような気がするんだよね。上手く言えないけどさ。
「闇の力が気になるか? だったら精霊達に聞いてみよう。あの光が闇の力に関係してるかどうか」
「......」
イフリートは沈黙している。
「おい、誰か代わりに答えてくれ!」
殿下が痺れを切らした。
『邪悪な気配は感じないわ』
どうやらレムが代表して答えるようだ。
「ほらな! 思った通りだ! 良し帰ろう、やれ帰ろう、すぐ帰ろう!」
殿下、焦り過ぎ...ちょっと落ち着け。
『ただね、上手く言えないけど...なんか...なんか感じるのよ...ねぇ、誰か分かる?』
レムはどうやら他の精霊達に話し掛けているようだ。
『う~ん、水の気配を感じるわね~ それと~ 良く分からないけど~ なにか~ 清らかなものを感じるわ~』
ウンディーネが答える。ただこれもまた漠然としていて要領を得ない。
ん? 待てよ、水?
アタシは石を拾って穴に投げてみた。数秒後、
チャポーーーン
水音が届いた。青白い光が揺れている。
「もしかして地底湖?」
◇◇◇
結局、精霊達の「良く分からないけど何かありそう」という話を元に、穴を調べることにした。殿下は最後まで渋っていたが、多数決に押し切られた。
他のみんなも冒険には興味津々のようで、喜んで参加すると言ってくれた。そうだよね、こういうのってなんかワクワクするよね!「カメラは見た! 地底湖に謎の巨大生物が!」みたいなノリだね!
ただ、どんな危険が待っているか検討もつかないので、いきなり穴に飛び込むんじゃなく、事前に出来るだけ調べてからにしようということになった。
任務外の危険を侵そうとしてるんだから準備するのは当然だ。
「シャロン様、どんな感じです?」
シャロン様は測量班だ。地下の構造を把握しておくのは大事だからね。
「そうね、湖までの距離は高さにして約50mってとこかしら。地下空間そのものの大きさは...ちょっと広過ぎて分からないわね。少なくとも10km四方はありそう」
「そうですか。湖の深さはどれくらいです?」
「そんなに深くないわね。せいぜい10mってとこかしら」
「ありがとうございます」
アタシ達の隣では、殿下とアリシアがペアを組んでる。こちらは観測班だ。
「殿下、もうちょっと右に」
「はいよ...ったく、なんで俺がこんなことを...」
ブツブツ言いながらも殿下が、火魔法で照明弾のように湖を照らしている。なんだかんだ言いながらも付き合ってくれる良い人だ。その隣ではアリシアが視力を強化して、湖やその周辺に危険がないか調べている。
その間、シルベスターとエリオットが辺りを警戒してくれている。こちらは哨戒班だ。
「殿下! そこでSTOP!」
「どうした、アリシア!」
「あれは...でもまさか...」
アリシアが驚愕している。一体、何を見たんだろう? 全員が注目する。
「水の中だからハッキリとは見えなかったけど、間違いない。あれは卵だわ。それも巨大な...」
全員の時が止まった。
水竜の卵なのか? 本当にあったのか? 真偽を確かめるべく、アタシ達は地底に向かった。
◇◇◇
「し、シルフ、本当に大丈夫なんでしょうね?」
『大丈夫だって~! 任せてよ~!』
「ゆっくり! ゆっくり下ろしてよ! お約束なんて要らないからね!」
『心配性だなぁ、ミナは。大船に乗ったつもりでドンと構えてなよ!』
今、アタシ達はシルフの加護の元、ゆっくりと地底に下りている。足元に何も無いってのは凄い恐怖だ。なるべく下を見ないようにする。
シルフもこちらの要望通り、ゆっくりと下ろしてくれる。これなら大丈夫そうだ。今までポンコツだと思ってだけど、この湿原に来てからのシルフは頼りになるんで安心かな。
そう思っていた時期が私にもありました...
『あっ!』
「シルフ? どうした?」
『ご、ゴメン...ここ風が吹かないから、加護が効かない...』
「えっ! ってことは...」
『ゴメーーーン!』
「ウギャアアアッ!」
フリーフォール!
死ぬ、死んでしまう~!!
「帰ろう。あの光が何なのか、気にはなるが俺達には関係無い。目的は果たしたんだし、こんな所にいつまでも居る理由も無い」
「そうなんですけど...」
確かに殿下の言うことは正論ではあるんだけど、なんかこうしっくり来ないっていうか、やり残したことがあるような気がするんだよね。上手く言えないけどさ。
「闇の力が気になるか? だったら精霊達に聞いてみよう。あの光が闇の力に関係してるかどうか」
「......」
イフリートは沈黙している。
「おい、誰か代わりに答えてくれ!」
殿下が痺れを切らした。
『邪悪な気配は感じないわ』
どうやらレムが代表して答えるようだ。
「ほらな! 思った通りだ! 良し帰ろう、やれ帰ろう、すぐ帰ろう!」
殿下、焦り過ぎ...ちょっと落ち着け。
『ただね、上手く言えないけど...なんか...なんか感じるのよ...ねぇ、誰か分かる?』
レムはどうやら他の精霊達に話し掛けているようだ。
『う~ん、水の気配を感じるわね~ それと~ 良く分からないけど~ なにか~ 清らかなものを感じるわ~』
ウンディーネが答える。ただこれもまた漠然としていて要領を得ない。
ん? 待てよ、水?
アタシは石を拾って穴に投げてみた。数秒後、
チャポーーーン
水音が届いた。青白い光が揺れている。
「もしかして地底湖?」
◇◇◇
結局、精霊達の「良く分からないけど何かありそう」という話を元に、穴を調べることにした。殿下は最後まで渋っていたが、多数決に押し切られた。
他のみんなも冒険には興味津々のようで、喜んで参加すると言ってくれた。そうだよね、こういうのってなんかワクワクするよね!「カメラは見た! 地底湖に謎の巨大生物が!」みたいなノリだね!
ただ、どんな危険が待っているか検討もつかないので、いきなり穴に飛び込むんじゃなく、事前に出来るだけ調べてからにしようということになった。
任務外の危険を侵そうとしてるんだから準備するのは当然だ。
「シャロン様、どんな感じです?」
シャロン様は測量班だ。地下の構造を把握しておくのは大事だからね。
「そうね、湖までの距離は高さにして約50mってとこかしら。地下空間そのものの大きさは...ちょっと広過ぎて分からないわね。少なくとも10km四方はありそう」
「そうですか。湖の深さはどれくらいです?」
「そんなに深くないわね。せいぜい10mってとこかしら」
「ありがとうございます」
アタシ達の隣では、殿下とアリシアがペアを組んでる。こちらは観測班だ。
「殿下、もうちょっと右に」
「はいよ...ったく、なんで俺がこんなことを...」
ブツブツ言いながらも殿下が、火魔法で照明弾のように湖を照らしている。なんだかんだ言いながらも付き合ってくれる良い人だ。その隣ではアリシアが視力を強化して、湖やその周辺に危険がないか調べている。
その間、シルベスターとエリオットが辺りを警戒してくれている。こちらは哨戒班だ。
「殿下! そこでSTOP!」
「どうした、アリシア!」
「あれは...でもまさか...」
アリシアが驚愕している。一体、何を見たんだろう? 全員が注目する。
「水の中だからハッキリとは見えなかったけど、間違いない。あれは卵だわ。それも巨大な...」
全員の時が止まった。
水竜の卵なのか? 本当にあったのか? 真偽を確かめるべく、アタシ達は地底に向かった。
◇◇◇
「し、シルフ、本当に大丈夫なんでしょうね?」
『大丈夫だって~! 任せてよ~!』
「ゆっくり! ゆっくり下ろしてよ! お約束なんて要らないからね!」
『心配性だなぁ、ミナは。大船に乗ったつもりでドンと構えてなよ!』
今、アタシ達はシルフの加護の元、ゆっくりと地底に下りている。足元に何も無いってのは凄い恐怖だ。なるべく下を見ないようにする。
シルフもこちらの要望通り、ゆっくりと下ろしてくれる。これなら大丈夫そうだ。今までポンコツだと思ってだけど、この湿原に来てからのシルフは頼りになるんで安心かな。
そう思っていた時期が私にもありました...
『あっ!』
「シルフ? どうした?」
『ご、ゴメン...ここ風が吹かないから、加護が効かない...』
「えっ! ってことは...」
『ゴメーーーン!』
「ウギャアアアッ!」
フリーフォール!
死ぬ、死んでしまう~!!
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