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第42話 ちみっこと魔法訓練 その2
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アリシアがヘトヘトになった頃、今日の魔法訓練は終了となった。
「ゼィハァ、ゼィハァ...き、キツイ...」
「アリシア、疲れてる所悪いけど、最後の仕上げが残ってるよ?」
「わ、分かってる..ちょっと休ませて...」
「そうは言っても皆さんお待ちかねだから早くね」
「鬼~! 分かったよ...セイントヒール..」
そう、この最後のヒールを掛けるために、他の皆さんは火傷、凍傷、打ち身、切り傷、などなど態と治さないで待ってたんだから。早くしてあげないとね。
「おぉ~! やっぱりアリシアのヒールは良いな!」
「体力も魔力も両方回復するって凄いですわよね」
「火傷も凍傷も傷も瞬く間に治りますね」
「あれ? 肝心のアリシアは疲れ切ったままだけど、自分で自分は回復出来ないの?」
シルベスターが良いとこ突いてきた。アタシも興味あるな。
「ゼィハァ、ゼィハァ...無理なんじゃないの...知らんけど」
あ~あ、アリシアがやさぐれちゃったよ。
『もう少しレベルが上がると、術者本人も回復出来るようになるわよ。頑張って!』
「ハァ...そりゃどーも...」
う~ん、レムがフォローしてもアリシアはご機嫌斜めだなぁ。明日から少し優しくしてあげよう。
~~ 次の日 ~~
アタシの今日のペアは殿下だ。アリシアはエリオットと、シルベスターはシャロン様とそれぞれペアを組んでる。
『ファイアーボール』
「ちょっと殿下! もっと強い攻撃をしてくれないと訓練になりませんよ!」
そんな初級魔法を今更撃たれても...
「い、いや、分かってはいるんだが、ミナに攻撃するとなると...どうしても無意識に手加減しちゃってだな...」
「はぁ~...もういいです。ゴーレムの相手して下さい」
「お、お手柔らかに頼むぞ?」
「無理です(ニッコリと)」
「ウギャァァァ!」
この後、ムチャクチャ攻撃した。
~~ また次の日 ~~
アタシの今日のペアはエリオットだ。アリシアがシルベスターと、殿下がシャロン様とそれぞれペアを組んでる。
『ウォーターボール』
エリオット、お前もか...
「ねぇ、エリオット。選んで。真面目に攻撃するか、それともゴーレムの餌食になるか」
アタシはニッコリと微笑んだ。
「す、すいませんでした! 真面目にやります!」
仕方無い。勘弁してやるか。まぁでも結局はボコボコにするんだけどね!
~~ またまた次の日 ~~
アタシの今日のペアはシルベスターだ。アリシアがシャロン様と、エリオットが殿下とペアを組んでる。
「み、ミナ、ボクはまずゴーレムの攻撃を防いでみたいんだけど」
「いいよ~ じゃあ行くね~」
アタシはいつも通りゴーレムを展開する。すかさずシルベスターがガードする。
「ほう、打撃は結構強いね。でもこれだったら何とか耐えられるかな」
「そう? じゃあこれは?」
アタシはシルベスターの足元、つまりガードの内側にゴーレムを展開する。
「へぶっ! こ、こんな所からも出せるの!?」
「そりゃそうだよ。だって地面は土なんだもん。どっからだって出せるよ。ホラホラ、早く攻撃か防御しないとボコボコになるよ?」
「ひぐっ! そ、そんなぁ~!」
この後、めっちゃボコった。
~~ またまたまた次の日 ~~
アタシの今日のペアはシャロン様だ。アリシアは殿下と、エリオットはシルベスターとそれぞれペアを組んでる。今日でペアの組み合わせが一巡したことになる。
「さあいらっしゃい! ミナさんの攻撃を全て受け止めて差し上げますわ!」
なんかシャロン様が腕を広げて待ち構えてんだけど。まあいいけどね。攻撃するのアタシじゃなくてゴーレムだし。
「行きますよ~」
「オーッホホホッ! 土人形如きにやられたりしませんわ~!」
お~! やるね~! 風を自分の体に纏ってゴーレムを近付けさせない作戦かぁ~ しかも地面から少し浮いてるから、足元にゴーレムを展開しても逃げられちゃうね~ さてどうしたもんかな~?
うん、取り敢えず精神面から攻めてみよう。学園内だから当然制服姿だしね。
「シャロン様~! パンツ丸見えですよ~!」
「いやーん! モーレツゥ!」
はい、風が途切れましたね。ボコボコにしましょうか。
一通りの訓練を終えて、みんなそれぞれに手応えを感じたみたいだ。アタシもゴーレムの操作に大分慣れたと思う。そんな時、ヒルダさんから連絡があった。ちょうど週末に重なったので、明日はギルドに向かうことになった。
◇◇◇
「待ってたわ。ちょうど良さそうな依頼があったのよ」
「どんな依頼だ?」
「ある地方でスライムが大繁殖してね。地元の人達に被害が出ているみたいなのよ」
「スライムだって? そんなのが脅威なのか?」
スライムと言えばRPGでは序盤に出て来る雑魚敵キャラというイメージしかないけど、この世界では厄介な敵なんだろうか?
「それがどうもただのスライムじゃないみたいなのよね」
「どういう意味だ?」
「普通のスライムならば本体の中心にある、核と呼ばれる部分を壊せば終わりなんだけどね、どうやら大繁殖しているスライムには、その核が無いみたいなのよ」
「それじゃ倒しようが無いってことか?」
お手上げじゃん?
「いえ、そうじゃないわ。核が無いから倒すのが大変だっていうだけで、無敵って訳じゃないから。スライムそのものを吹き飛ばすくらいの威力がある攻撃をすれば良いだけよ」
それもそうか。じゃないとこの世界がスライムに支配されちゃうもんね。
「なるほど。状況は良く分かったが、俺達を呼んだ理由はそれだけじゃ無さそうだな?」
「えぇ、このような新種のスライムが急に現れたってこと、しかもそれが大繁殖してるってこと、異常な状態が2つ重なったことは、とても偶然とは思えないのよね」
「闇の力が介在している可能性がある...ってことだな...」
「えぇ、その通りよ。受けて貰えるかしら?」
殿下が全員を見回す。全員が頷いた。
「分かった。依頼を引き受けよう」
こうしてアタシ達はスライム退治の依頼を受けることになった。
◇◇◇
王都から馬車に揺られること約半日、アタシ達の目の前には広大な牧草地が広がっていた。遠くの方に見えるのは牛だろうか、放牧されてるみたいだ。そこだけ切り取ると長閑な田園風景で、とてもスライムの脅威に脅かされているようには見えない。
「どの辺りに居るんでしょうかね?」
アタシは長時間の馬車移動で凝り固まった筋肉を伸ばしながら、誰ともなしに呟いた。
「情報によると、この辺りで放牧されてる牛や羊が被害に合ってるそうだ。まだ人的被害は出てないみたいだが時間の問題だろうな」
殿下が応える。じゃあ早く解決しないとね。
「しかしこれだけ広いと探すのも骨が折れますね」
エリオットの言う通り、ただっ広いもんねぇ。
「いっそ二手に分かれません?」
シャロン様が提案する。う~ん、でもなぁ...
「それは止めといた方が良いと思います。まだ敵の強さも不明ですし」
シルベスターの言うことも一理あるんだよねぇ。悩ましいなぁ...
「ミナ、どうする?」
「う~ん...分かれますか」
敵の強さが不明な状況で戦力を二分するのは本来なら悪手だろう。だがアタシはこのメンバーなら戦力を分けても十分戦えると判断した。効率を考えれば二手に分かれた方が良いとも思った。問題はどういう組み合わせにするかだが、どうやってもなんか揉めそうだなぁ。
「いっそ、男性班と女性班に分かれてみますか?」
面倒になったアタシはそう提案してみた。当然の如く男性側から「女だけじゃ危険だ」と言う声が上がる。まぁ、ある意味予想通りの反応だ。なので、
「今回はマリーに連いて貰いますから。人数的にはそちらより多くなりますので大丈夫かと。いいよね、マリー?」
「ミナお嬢様の仰せのままに」
マリーの強さを知っている男性班が渋々といった体で頷いた。前回と違い、今回はまだ闇の力を感じないので、マリーにも一緒に来て貰おうと思ったのだ。
さあではスライム退治と参りましょうか。
「ゼィハァ、ゼィハァ...き、キツイ...」
「アリシア、疲れてる所悪いけど、最後の仕上げが残ってるよ?」
「わ、分かってる..ちょっと休ませて...」
「そうは言っても皆さんお待ちかねだから早くね」
「鬼~! 分かったよ...セイントヒール..」
そう、この最後のヒールを掛けるために、他の皆さんは火傷、凍傷、打ち身、切り傷、などなど態と治さないで待ってたんだから。早くしてあげないとね。
「おぉ~! やっぱりアリシアのヒールは良いな!」
「体力も魔力も両方回復するって凄いですわよね」
「火傷も凍傷も傷も瞬く間に治りますね」
「あれ? 肝心のアリシアは疲れ切ったままだけど、自分で自分は回復出来ないの?」
シルベスターが良いとこ突いてきた。アタシも興味あるな。
「ゼィハァ、ゼィハァ...無理なんじゃないの...知らんけど」
あ~あ、アリシアがやさぐれちゃったよ。
『もう少しレベルが上がると、術者本人も回復出来るようになるわよ。頑張って!』
「ハァ...そりゃどーも...」
う~ん、レムがフォローしてもアリシアはご機嫌斜めだなぁ。明日から少し優しくしてあげよう。
~~ 次の日 ~~
アタシの今日のペアは殿下だ。アリシアはエリオットと、シルベスターはシャロン様とそれぞれペアを組んでる。
『ファイアーボール』
「ちょっと殿下! もっと強い攻撃をしてくれないと訓練になりませんよ!」
そんな初級魔法を今更撃たれても...
「い、いや、分かってはいるんだが、ミナに攻撃するとなると...どうしても無意識に手加減しちゃってだな...」
「はぁ~...もういいです。ゴーレムの相手して下さい」
「お、お手柔らかに頼むぞ?」
「無理です(ニッコリと)」
「ウギャァァァ!」
この後、ムチャクチャ攻撃した。
~~ また次の日 ~~
アタシの今日のペアはエリオットだ。アリシアがシルベスターと、殿下がシャロン様とそれぞれペアを組んでる。
『ウォーターボール』
エリオット、お前もか...
「ねぇ、エリオット。選んで。真面目に攻撃するか、それともゴーレムの餌食になるか」
アタシはニッコリと微笑んだ。
「す、すいませんでした! 真面目にやります!」
仕方無い。勘弁してやるか。まぁでも結局はボコボコにするんだけどね!
~~ またまた次の日 ~~
アタシの今日のペアはシルベスターだ。アリシアがシャロン様と、エリオットが殿下とペアを組んでる。
「み、ミナ、ボクはまずゴーレムの攻撃を防いでみたいんだけど」
「いいよ~ じゃあ行くね~」
アタシはいつも通りゴーレムを展開する。すかさずシルベスターがガードする。
「ほう、打撃は結構強いね。でもこれだったら何とか耐えられるかな」
「そう? じゃあこれは?」
アタシはシルベスターの足元、つまりガードの内側にゴーレムを展開する。
「へぶっ! こ、こんな所からも出せるの!?」
「そりゃそうだよ。だって地面は土なんだもん。どっからだって出せるよ。ホラホラ、早く攻撃か防御しないとボコボコになるよ?」
「ひぐっ! そ、そんなぁ~!」
この後、めっちゃボコった。
~~ またまたまた次の日 ~~
アタシの今日のペアはシャロン様だ。アリシアは殿下と、エリオットはシルベスターとそれぞれペアを組んでる。今日でペアの組み合わせが一巡したことになる。
「さあいらっしゃい! ミナさんの攻撃を全て受け止めて差し上げますわ!」
なんかシャロン様が腕を広げて待ち構えてんだけど。まあいいけどね。攻撃するのアタシじゃなくてゴーレムだし。
「行きますよ~」
「オーッホホホッ! 土人形如きにやられたりしませんわ~!」
お~! やるね~! 風を自分の体に纏ってゴーレムを近付けさせない作戦かぁ~ しかも地面から少し浮いてるから、足元にゴーレムを展開しても逃げられちゃうね~ さてどうしたもんかな~?
うん、取り敢えず精神面から攻めてみよう。学園内だから当然制服姿だしね。
「シャロン様~! パンツ丸見えですよ~!」
「いやーん! モーレツゥ!」
はい、風が途切れましたね。ボコボコにしましょうか。
一通りの訓練を終えて、みんなそれぞれに手応えを感じたみたいだ。アタシもゴーレムの操作に大分慣れたと思う。そんな時、ヒルダさんから連絡があった。ちょうど週末に重なったので、明日はギルドに向かうことになった。
◇◇◇
「待ってたわ。ちょうど良さそうな依頼があったのよ」
「どんな依頼だ?」
「ある地方でスライムが大繁殖してね。地元の人達に被害が出ているみたいなのよ」
「スライムだって? そんなのが脅威なのか?」
スライムと言えばRPGでは序盤に出て来る雑魚敵キャラというイメージしかないけど、この世界では厄介な敵なんだろうか?
「それがどうもただのスライムじゃないみたいなのよね」
「どういう意味だ?」
「普通のスライムならば本体の中心にある、核と呼ばれる部分を壊せば終わりなんだけどね、どうやら大繁殖しているスライムには、その核が無いみたいなのよ」
「それじゃ倒しようが無いってことか?」
お手上げじゃん?
「いえ、そうじゃないわ。核が無いから倒すのが大変だっていうだけで、無敵って訳じゃないから。スライムそのものを吹き飛ばすくらいの威力がある攻撃をすれば良いだけよ」
それもそうか。じゃないとこの世界がスライムに支配されちゃうもんね。
「なるほど。状況は良く分かったが、俺達を呼んだ理由はそれだけじゃ無さそうだな?」
「えぇ、このような新種のスライムが急に現れたってこと、しかもそれが大繁殖してるってこと、異常な状態が2つ重なったことは、とても偶然とは思えないのよね」
「闇の力が介在している可能性がある...ってことだな...」
「えぇ、その通りよ。受けて貰えるかしら?」
殿下が全員を見回す。全員が頷いた。
「分かった。依頼を引き受けよう」
こうしてアタシ達はスライム退治の依頼を受けることになった。
◇◇◇
王都から馬車に揺られること約半日、アタシ達の目の前には広大な牧草地が広がっていた。遠くの方に見えるのは牛だろうか、放牧されてるみたいだ。そこだけ切り取ると長閑な田園風景で、とてもスライムの脅威に脅かされているようには見えない。
「どの辺りに居るんでしょうかね?」
アタシは長時間の馬車移動で凝り固まった筋肉を伸ばしながら、誰ともなしに呟いた。
「情報によると、この辺りで放牧されてる牛や羊が被害に合ってるそうだ。まだ人的被害は出てないみたいだが時間の問題だろうな」
殿下が応える。じゃあ早く解決しないとね。
「しかしこれだけ広いと探すのも骨が折れますね」
エリオットの言う通り、ただっ広いもんねぇ。
「いっそ二手に分かれません?」
シャロン様が提案する。う~ん、でもなぁ...
「それは止めといた方が良いと思います。まだ敵の強さも不明ですし」
シルベスターの言うことも一理あるんだよねぇ。悩ましいなぁ...
「ミナ、どうする?」
「う~ん...分かれますか」
敵の強さが不明な状況で戦力を二分するのは本来なら悪手だろう。だがアタシはこのメンバーなら戦力を分けても十分戦えると判断した。効率を考えれば二手に分かれた方が良いとも思った。問題はどういう組み合わせにするかだが、どうやってもなんか揉めそうだなぁ。
「いっそ、男性班と女性班に分かれてみますか?」
面倒になったアタシはそう提案してみた。当然の如く男性側から「女だけじゃ危険だ」と言う声が上がる。まぁ、ある意味予想通りの反応だ。なので、
「今回はマリーに連いて貰いますから。人数的にはそちらより多くなりますので大丈夫かと。いいよね、マリー?」
「ミナお嬢様の仰せのままに」
マリーの強さを知っている男性班が渋々といった体で頷いた。前回と違い、今回はまだ闇の力を感じないので、マリーにも一緒に来て貰おうと思ったのだ。
さあではスライム退治と参りましょうか。
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