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後日談2
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エミリアは地下牢の独房に収監されていた。
この一ヶ月というもの、毎日の厳しい尋問に耐える日々だった。同じことを何回も聞かれ同じことを答える。その繰り返しだった。
簡素な食事は一日二食しか与えられず、固いベッドに薄い掛け布団。風呂に入ることも許されず体中が臭いし痒い。
エミリアは今にも気が狂いそうだった。なんでヒロインに生まれ変わったはずの自分がこんな目に遭っているのか?
エミリアにはどうしても納得がいかなかった。だからハッキリさせておきたかった。なので看守に何度も何度もお願いした。イライザに一目会わせて欲しいと。
だがその面会希望が叶えられることはついぞなかった。そんなある日のこと。鉄格子越しに看守が話し掛けて来た。
「おい、貴様の刑罰が確定したぞ? 一度入ったら二度と出られないことで有名な、北の辺境にある修道院行きだ。そこで一生神に懺悔でも捧げるんだな」
看守が嘲笑うようにそう言った。
「...んで...」
「うん?」
「なんで私がそんなとこ行かないとなんないのよ! ふざけんじゃないわよ! 私はこの世界のヒロインなのよ! この世界は私のためにあるんだからぁ!」
「うわ...コイツとうとう気が触れやがったか...」
看守が可哀想なものを見るような目でエミリアを見る。その蔑んだような視線にまたしてもエミリアはムカッと来た。更に言い募ろうとした時だった。
「騒がしいですね。なんの騒ぎですか?」
「えっ!? イライザ様!? なんだってこんな場所に!?」
看守がビックリして尋ねる。間違っても公爵令嬢が来るような所ではないから当然だ。
「いえね、なんでもエミリア嬢が私に会いたいと言っているらしいんで、最後くらいは顔を見せてあげようかなと思いまして。それで私になんの用ですか?」
「ようやく来たわね、イライザ! 白状しなさいよ! アンタも私と同じ転生者なんでしょ!?」
「テンセイシャ!? なんですそれは!?」
「惚けんじゃないわよ! 転生者じゃなかったら、なんで悉く私の邪魔ばっかりしたのよ! おかしいじゃないの! 本当はアンタが処刑されるはずだったのにぃ!」
「...なるほど...その未来を知っているということは、あなたも私と同じ能力者だったということですか...」
「はっ!? 能力者!? アンタなに言ってんのよ!?」
「まぁ、今となってはどうでもいいことです。もう話は終わりですか? それじゃあ永遠にご機嫌よう」
「待って! 待ちなさいよ! 助けてよ~! お願いだからぁ~!」
エミリアはずっと叫び続けていたが、イライザが二度と振り返ることはなかった。
この一ヶ月というもの、毎日の厳しい尋問に耐える日々だった。同じことを何回も聞かれ同じことを答える。その繰り返しだった。
簡素な食事は一日二食しか与えられず、固いベッドに薄い掛け布団。風呂に入ることも許されず体中が臭いし痒い。
エミリアは今にも気が狂いそうだった。なんでヒロインに生まれ変わったはずの自分がこんな目に遭っているのか?
エミリアにはどうしても納得がいかなかった。だからハッキリさせておきたかった。なので看守に何度も何度もお願いした。イライザに一目会わせて欲しいと。
だがその面会希望が叶えられることはついぞなかった。そんなある日のこと。鉄格子越しに看守が話し掛けて来た。
「おい、貴様の刑罰が確定したぞ? 一度入ったら二度と出られないことで有名な、北の辺境にある修道院行きだ。そこで一生神に懺悔でも捧げるんだな」
看守が嘲笑うようにそう言った。
「...んで...」
「うん?」
「なんで私がそんなとこ行かないとなんないのよ! ふざけんじゃないわよ! 私はこの世界のヒロインなのよ! この世界は私のためにあるんだからぁ!」
「うわ...コイツとうとう気が触れやがったか...」
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「騒がしいですね。なんの騒ぎですか?」
「えっ!? イライザ様!? なんだってこんな場所に!?」
看守がビックリして尋ねる。間違っても公爵令嬢が来るような所ではないから当然だ。
「いえね、なんでもエミリア嬢が私に会いたいと言っているらしいんで、最後くらいは顔を見せてあげようかなと思いまして。それで私になんの用ですか?」
「ようやく来たわね、イライザ! 白状しなさいよ! アンタも私と同じ転生者なんでしょ!?」
「テンセイシャ!? なんですそれは!?」
「惚けんじゃないわよ! 転生者じゃなかったら、なんで悉く私の邪魔ばっかりしたのよ! おかしいじゃないの! 本当はアンタが処刑されるはずだったのにぃ!」
「...なるほど...その未来を知っているということは、あなたも私と同じ能力者だったということですか...」
「はっ!? 能力者!? アンタなに言ってんのよ!?」
「まぁ、今となってはどうでもいいことです。もう話は終わりですか? それじゃあ永遠にご機嫌よう」
「待って! 待ちなさいよ! 助けてよ~! お願いだからぁ~!」
エミリアはずっと叫び続けていたが、イライザが二度と振り返ることはなかった。
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