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「しっかしまぁ、見事なくらいな~んもないわねぇ...」

 歩きながらシイナが呆れ混じりにそう呟く。

 地面は砂利道になっており、草木もほとんど生えていない。ずっとそんな何も無い荒れ地が広がっているだけだった。

「わたくし達以前にここへ落とされた方々はどこにいらっしゃるんでしょうね...」

 ミレイが不安気にそう言った。

「案外既に全員くたばってんのかも知んねぇな...」

 カレンが物騒なことを言い出した。

「......」

 そんな中、さっきまであんなに賑やかだったフウカだけが静かだ。

「どうした、フウカ? もしかしてビビッてんのか?」

 カレンが揶揄い混じりにそう言うと、返事をしたのはフウカのお腹だった。

 クゥ~ゴロゴロ...

「お腹空いた...」

「こりゃまた盛大な腹の虫だな!」

 カレンが笑い出した。

「カレン、笑い事じゃないわよ。このままなにも見付からなかったら、私達餓死するしかないんだから」

 シイナがカレンを窘めていると、

「見て下さい! あそこに洞窟がありますわ!」

 ミレイが指差す先には、確かに洞窟の入口が口を開いていた、

「うわぁ...なんか如何にも怪し気な洞窟だなぁ...どうする? 入ってみるか?」

 洞窟の入口からちょっと中を覗き込んだカレンが、3人を振り返って問い掛ける。

「えぇ、入ってみましょうか。ここ以外、他にはなにも無いようだし」

 いつの間にやら4人の中でリーダー格になっていたシイナがそう判断する。

「ちょい待ち! 松明が無いと! きっと中は真っ暗だよ!」

 そう言ってフウカは自分の上着を脱いで、そこら辺に落ちていた木の枝に縛り付けた。

「ミレイ、魔法でこれに火を点けて!」

「分かりましたわ!」

『ファイアー!』

 ミレイが呪文を唱えると、炎が噴き出して縛り付けた服に火を点けた。

「これで灯りは大丈夫! この服は燃えにくい素材で出来てるから、しばらくは持つはず! さぁ、行こう! 食料を求めて!」

「急に元気になったかと思ったら食い気かよ」

 カレンがそう言って苦笑したのを見て、他の二人も苦笑を浮かべた。

 ともあれ腹ペコなフウカを先頭に、洞窟の中へと全員が入って行ったのだった。 


◇◇◇


 しばらく歩くと途中に分岐があった。

「どっちに進む?」

「右」「左」「右」「左」

 4人の意見が見事に真っ二つに分かれた。これは困った...その時、シイナがなにか閃いたようだ。

「ちょっと待って」

 右と左の道の入口に立って神経を集中している。

「...僅かだけど、右の道の方から風が流れて来てるわ...ということは行き止まりじゃない可能性が高い。右に進みましょう」

 全員が頷いた。
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