4 / 7
4
しおりを挟む
アイリスは、イーサン達から離れて踞ってしまったサリアに話し掛ける。
「サリアさん、この人の皮を被ったケダモノどもに、何と言われて協力していたのか教えて貰ってもいいですか?」
するとサリアは怯えながらもハッキリとした口調でこう言った。
「...わ、私がアイリス様に虐められていたというウソの証言をすれば、アイリス様と婚約破棄した後、新しい婚約者にしてやると言われました...」
「それだけですか?」
「えっと...その...か、体を要求されました...」
サリアはさすがに恥ずかしいのか、最後の方は消え入りそうな声になった。
「応じたんですか?」
「...はい...どうせ婚約するんだからいいだろ? って言われて仕方なく...」
「はぁ...」
アイリスは大きなため息を吐いた。
「それ、このケダモノの常套手段ですよ...」
「えっ!?」
サリアが大きく目を見開く。
「このケダモノは王宮に仕える自分付きの侍女に片っ端から手を出しました。その時の口説き文句が『婚約者にしてやる』です」
「ウソッ!?」
「ウソじゃありませんよ?『初物食い』と称して純潔を散らすのが趣味なんです。そして傷物にした後はポイッと捨てるんです。そのせいで、このケダモノ付きになるのをみんな嫌がるようになりました。無理もありませんよね? 今ではこのケダモノ付きになっているのは、ベテランの侍女のみになりました。それこそ自分の母親より歳上のね。若い女は誰も近寄りませんよ?」
「そ、そんな...」
サリアは茫然自失の体である。アイリスの告発はまだ続く。イーサンはもう虚ろな目をしている。
「侍女が抱けなくなったこのケダモノは、次は下位貴族の子爵、男爵令嬢にターゲットを変更しました。王宮に呼び出し同じように『婚約者にしてやる』と言っては次々に令嬢達を食い物にしていきました。傷物にされた令嬢達は、年の離れた貴族の後妻に入るか、性癖に問題がある貴族に嫁入りするしかありません。サリアさん、あなたもこのような被害女性の内の一人なんですよ?」
「...信じらんない...」
サリアは目に涙を浮かべて、イーサンを睨み付けた。それに気付いたイーサンは怯えた表情を浮かべている。もう反論することも出来ないようだ。
会場内の殺気はピークに達しようとしていた。彼ら彼女らはイーサン達を逃がさないよう、回りを取り囲み始めていた。
そろそろ限界だろう。
アイリスはイーサン達の悲惨な末路を思い浮かべて、ざまぁ! とほくそ笑んでいた。
「サリアさん、この人の皮を被ったケダモノどもに、何と言われて協力していたのか教えて貰ってもいいですか?」
するとサリアは怯えながらもハッキリとした口調でこう言った。
「...わ、私がアイリス様に虐められていたというウソの証言をすれば、アイリス様と婚約破棄した後、新しい婚約者にしてやると言われました...」
「それだけですか?」
「えっと...その...か、体を要求されました...」
サリアはさすがに恥ずかしいのか、最後の方は消え入りそうな声になった。
「応じたんですか?」
「...はい...どうせ婚約するんだからいいだろ? って言われて仕方なく...」
「はぁ...」
アイリスは大きなため息を吐いた。
「それ、このケダモノの常套手段ですよ...」
「えっ!?」
サリアが大きく目を見開く。
「このケダモノは王宮に仕える自分付きの侍女に片っ端から手を出しました。その時の口説き文句が『婚約者にしてやる』です」
「ウソッ!?」
「ウソじゃありませんよ?『初物食い』と称して純潔を散らすのが趣味なんです。そして傷物にした後はポイッと捨てるんです。そのせいで、このケダモノ付きになるのをみんな嫌がるようになりました。無理もありませんよね? 今ではこのケダモノ付きになっているのは、ベテランの侍女のみになりました。それこそ自分の母親より歳上のね。若い女は誰も近寄りませんよ?」
「そ、そんな...」
サリアは茫然自失の体である。アイリスの告発はまだ続く。イーサンはもう虚ろな目をしている。
「侍女が抱けなくなったこのケダモノは、次は下位貴族の子爵、男爵令嬢にターゲットを変更しました。王宮に呼び出し同じように『婚約者にしてやる』と言っては次々に令嬢達を食い物にしていきました。傷物にされた令嬢達は、年の離れた貴族の後妻に入るか、性癖に問題がある貴族に嫁入りするしかありません。サリアさん、あなたもこのような被害女性の内の一人なんですよ?」
「...信じらんない...」
サリアは目に涙を浮かべて、イーサンを睨み付けた。それに気付いたイーサンは怯えた表情を浮かべている。もう反論することも出来ないようだ。
会場内の殺気はピークに達しようとしていた。彼ら彼女らはイーサン達を逃がさないよう、回りを取り囲み始めていた。
そろそろ限界だろう。
アイリスはイーサン達の悲惨な末路を思い浮かべて、ざまぁ! とほくそ笑んでいた。
229
お気に入りに追加
2,345
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
不謹慎なブス令嬢を演じてきましたが、もうその必要はありません。今日ばっかりはクズ王子にはっきりと言ってやります!
幌あきら
恋愛
【恋愛ファンタジー・クズ王子系・ざまぁ】
この王子との婚約ばっかりは拒否する理由がある――!
アレリア・カッチェス侯爵令嬢は、美麗クズ王子からの婚約打診が嫌で『不謹慎なブス令嬢』を装っている。
しかしそんな苦労も残念ながら王子はアレリアを諦める気配はない。
アレリアは王子が煩わしく領内の神殿に逃げるが、あきらめきれない王子はアレリアを探して神殿まで押しかける……!
王子がなぜアレリアに執着するのか、なぜアレリアはこんなに頑なに王子を拒否するのか?
その秘密はアレリアの弟の結婚にあった――?
クズ王子を書きたくて、こんな話になりました(笑)
いろいろゆるゆるかとは思いますが、よろしくお願いいたします!
他サイト様にも投稿しています。
ええ。私もあなたの事が嫌いです。 それではさようなら。
月華
ファンタジー
皆さんはじめまして。月華です。はじめてなので至らない点もありますが良い点も悪い点も教えてくだされば光栄です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「エレンベール・オーラリー!貴様との婚約を破棄する!」…皆さんこんにちは。オーラリー公爵令嬢のエレンベールです。今日は王立学園の卒業パーティーなのですが、ここロンド王国の第二王子のラスク王子殿下が見たこともない女の人をエスコートしてパーティー会場に来られたらこんな事になりました。
【完結】公女さまが殿下に婚約破棄された
杜野秋人
恋愛
突然始まった卒業記念パーティーでの婚約破棄と断罪劇。
責めるのはおつむが足りないと評判の王太子、責められるのはその婚約者で筆頭公爵家の公女さま。どっちも卒業生で、俺のひとつ歳上だ。
なんでも、下級生の男爵家令嬢に公女さまがずっと嫌がらせしてたんだと。
ホントかね?
公女さまは否定していたけれど、証拠や証言を積み上げられて公爵家の責任まで問われかねない事態になって、とうとう涙声で罪を認めて謝罪するところまで追い込まれた。
だというのに王太子殿下は許そうとせず、あろうことか独断で国外追放まで言い渡した。
ちょっとこれはやりすぎじゃねえかなあ。公爵家が黙ってるとも思えんし、将来の王太子妃として知性も教養も礼儀作法も完璧で、いつでも凛々しく一流の淑女だった公女さまを国外追放するとか、国家の損失だろこれ。
だけど陛下ご夫妻は外遊中で、バカ王太子を止められる者などこの場にはいない。
しょうがねえな、と俺は一緒に学園に通ってる幼馴染の使用人に指示をひとつ出した。
うまく行けば、公爵家に恩を売れるかも。その時はそんな程度しか考えていなかった。
それがまさか、とんでもない展開になるなんて⸺!?
◆衝動的に一晩で書き上げたありきたりのテンプレ婚約破棄です。例によって設定は何も作ってない(一部流用した)ので固有名詞はほぼ出てきません。どこの国かもきちんと決めてないです(爆)。
ただ視点がちょっとひと捻りしてあります。
◆全5話、およそ8500字程度でサラッと読めます。お気軽にどうぞ。
9/17、別視点の話を書いちゃったんで追加投稿します。全4話、約12000字………って元の話より長いやんけ!(爆)
◆感想欄は常に開放しています。ご意見ご感想ツッコミやダメ出しなど、何でもお待ちしています。ぶっちゃけ感想もらえるだけでも嬉しいので。
◆この物語も例によって小説家になろうでも公開しています。あちらも同じく全5話+4話。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
高慢な王族なんてごめんです! 自分の道は自分で切り開きますからお気遣いなく。
柊
恋愛
よくある断罪に「婚約でしたら、一週間程前にそちらの有責で破棄されている筈ですが……」と返した公爵令嬢ヴィクトワール・シエル。
婚約者「だった」シレンス国の第一王子であるアルベール・コルニアックは困惑するが……。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる