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コウシャンが淡々と続ける。
「私は運命に抗うため、ゲームの強制力とやらに抗うため、とにかく必死に努力を重ねたわ。この世界の知識を貪欲に吸収し、様々な人脈を築き上げ、不測の事態が起きても冷静に対応できるように。あなた達が遊び呆けている間にね。そんな時だったわ。あの3人に会ったのは」
「...3人...あ、取り巻き達の婚約者の?」
「えぇ、そうよ。彼女達も苦しんでいたわ。婚約者の心変わりにね。そして彼女達の相談に乗っている内にね、なんか違和感を感じたのよ」
「...違和感って?」
「ちょうどあなたと話しているみたいな感じって言えばいいのかしらね」
「えっ!? それって...まさか!?」
「えぇ、彼女達3人もまた私達と同じ転生者だったのよ」
ダンシャルは驚愕に目を見開いた。
「えぇっ!? そ、それじゃあ...」
「あなたが思った通りよ。私達は全員ゲームから下りることにしたの。だからあなたはどのルートを選んでも上手く行かなかったでしょうね。あなたはゲームの世界を生きていたみたいだけど、私達は現実の世界を必死で生きていたんだから。死亡エンドを回避するためにね」
ダンシャルは今度こそ打ちのめされて崩れ落ちてしまった。そんなダンシャルを冷たく見下ろしながらコウシャンは続ける。
「それで最初の質問に戻るんだけど、やっぱり逆ハー狙いだったの?」
「...えぇ、そうよ。逆ハーエンドを迎えて隠れキャラである隣国の王太子に会いたかったのよ...でもイベントが何一つ起きなくて中々好感度が上がらず、仕方なしに体を使ったわ...」
開き直ったのかダンシャルは素直に白状した。
「呆れたわね...逆ハーなんて現実世界じゃ有り得ないでしょうに...結局あなたは最後までゲームの世界の中に居たのね...それで破滅を迎えてりゃ世話ないわね...」
コウシャンは蔑んだ目でダンシャルを見やった。
「まぁとにかく、聞きたいことが聞けて良かったわ。じゃあね」
コウシャンが踵を返した瞬間、ダンシャルが跳ねるように飛び起きて鉄格子を掴む。
「ま、待って! お願いよ! 命だけは! 命だけは助けてよ!」
「あら? なんで私がそんなことをしなければならないのかしら?」
立ち止まったコウシャンは振り返って、心底分からないと言った表情を浮かべた。
「お、同じ転生者のよしみじゃないのよ! お願いよ! お願いします!」
「ふうん...でもあなた、私に冤罪をふっ掛けて断罪しようとしたんじゃなかったっけ? 平気で私を殺す気だったのよね?」
コウシャンの目が鋭く光る。その目にダンシャルは怯えた。
「そ、それはその...」
「そんな人を助けるほど私は聖人君子じゃないの。お生憎様」
そう言ってコウシャンは、二度と振り返ることなく牢屋を後にした。ダンシャルはいつまでも叫び続けていた。
~ fin. ~
「私は運命に抗うため、ゲームの強制力とやらに抗うため、とにかく必死に努力を重ねたわ。この世界の知識を貪欲に吸収し、様々な人脈を築き上げ、不測の事態が起きても冷静に対応できるように。あなた達が遊び呆けている間にね。そんな時だったわ。あの3人に会ったのは」
「...3人...あ、取り巻き達の婚約者の?」
「えぇ、そうよ。彼女達も苦しんでいたわ。婚約者の心変わりにね。そして彼女達の相談に乗っている内にね、なんか違和感を感じたのよ」
「...違和感って?」
「ちょうどあなたと話しているみたいな感じって言えばいいのかしらね」
「えっ!? それって...まさか!?」
「えぇ、彼女達3人もまた私達と同じ転生者だったのよ」
ダンシャルは驚愕に目を見開いた。
「えぇっ!? そ、それじゃあ...」
「あなたが思った通りよ。私達は全員ゲームから下りることにしたの。だからあなたはどのルートを選んでも上手く行かなかったでしょうね。あなたはゲームの世界を生きていたみたいだけど、私達は現実の世界を必死で生きていたんだから。死亡エンドを回避するためにね」
ダンシャルは今度こそ打ちのめされて崩れ落ちてしまった。そんなダンシャルを冷たく見下ろしながらコウシャンは続ける。
「それで最初の質問に戻るんだけど、やっぱり逆ハー狙いだったの?」
「...えぇ、そうよ。逆ハーエンドを迎えて隠れキャラである隣国の王太子に会いたかったのよ...でもイベントが何一つ起きなくて中々好感度が上がらず、仕方なしに体を使ったわ...」
開き直ったのかダンシャルは素直に白状した。
「呆れたわね...逆ハーなんて現実世界じゃ有り得ないでしょうに...結局あなたは最後までゲームの世界の中に居たのね...それで破滅を迎えてりゃ世話ないわね...」
コウシャンは蔑んだ目でダンシャルを見やった。
「まぁとにかく、聞きたいことが聞けて良かったわ。じゃあね」
コウシャンが踵を返した瞬間、ダンシャルが跳ねるように飛び起きて鉄格子を掴む。
「ま、待って! お願いよ! 命だけは! 命だけは助けてよ!」
「あら? なんで私がそんなことをしなければならないのかしら?」
立ち止まったコウシャンは振り返って、心底分からないと言った表情を浮かべた。
「お、同じ転生者のよしみじゃないのよ! お願いよ! お願いします!」
「ふうん...でもあなた、私に冤罪をふっ掛けて断罪しようとしたんじゃなかったっけ? 平気で私を殺す気だったのよね?」
コウシャンの目が鋭く光る。その目にダンシャルは怯えた。
「そ、それはその...」
「そんな人を助けるほど私は聖人君子じゃないの。お生憎様」
そう言ってコウシャンは、二度と振り返ることなく牢屋を後にした。ダンシャルはいつまでも叫び続けていた。
~ fin. ~
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