空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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新しい朝の光景

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「フワァ...おはようございます」

「おはようございます」

「カリナさん、コーヒーでいいですか?」

「はい、すいません。お願いします」

 翌日、いつものように朝のルーティンが始まる。私が起き出して来ると、先に起きて朝食の支度をしてくれているアスカさん、フローラさんが出迎えてくれる。いつもと変わりない朝の光景。
 
 だが今朝はちょっと違った。

「は~い♪ ニコちゃん♪ 良い子でちゅね~♪ キレイキレイしましょうね~♪」

 そんなセリカさんの猫なで声が外から聞こえて来たのだ。窓から外を覗いてみると、いつもは私よりもお寝坊さんなセリカさんが既に起き出していて、甲斐甲斐しくニコの世話を焼いている。

 どうやら水を浸したタオルで全身を拭いてあげているようだ。ニコも嫌がることもなく、大人しくされるがままになっている。

「セリカさん、今朝は私達より早起きだったんですよ。はい、どうぞ」

 淹れたてのコーヒーを持って来てくれたフローラさんが、そう言って苦笑している。

「あ、ありがとうございます。そうなんですね」

「セリカさん、よっぽど嬉しかったんでしょうね。ニコのお世話をしたいってずっと言ってましたもんね」

 そこにアスカさんも加わった。

「えぇ、確かにそうですね。まぁ、仲良くやってるみたいなんで安心しましたよ」

 私が外の光景に目を細めていると、

「フワァァァ...おはよ...」

 ルキノちゃんが寝ぼけ眼を擦りながら起き出して来た。ニコに食われてしまったので、朝早くから花の水やりをする必要がなくなったルキノちゃんは、またお寝坊さんに戻っていた。

「ルキノちゃん、おはようございます」

「ルキノ、まず顔を洗ってらっしゃい」

「ふぁい...」

 アスカさんにそう言われたルキノちゃんは、洗面所にとことこと歩いて向かおうとしたが、

「ほ~ら、ニコちゃん♪ キレイになりまちたよ~♪ 良かったでちゅね~♪ 可愛いでちゅよ~♪」

 そんなセリカさんの猫なで声に足を止めて外を見た。そして繰り広げられている一人と一頭との仲睦まじい光景を、なんとも言えない複雑な表情で見詰めていた。

「フゥ...」

 一つ大きなため息を吐きながら、ルキノちゃんは洗面所へと消えた。私は掛けるべき言葉が見当たらず、黙ってその姿を見送ることしか出来なかった。

「今度は観葉植物を買って来てあげることにしますよ」

 私の視線の意味に気付いたアスカさんが、そう言ってフォローした。

「あぁ、良いですねそれ。室内ならニコに食われる心配も無さそうですし」

 少しでもルキノちゃんが元気になってくれたらいいよね。

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