空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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奇跡

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 その後、私達はパーティーホームに帰宅した。

「ただいま戻りました」

「お帰りなさい~♪」

 玄関のドアを開けるや否や、ルキノちゃんが私の胸に飛び込んで来た。母親であるアスカさんより先に。アスカさんは苦笑していた。

「ルキノちゃん、良い子にしてましたか?」

「うん♪ ルキノ、とっても良い子だったよ~♪」

「お庭の草むしりはサボり捲ってましたけどね。皆さん、お疲れ様でした」

 すると後ろからやって来たフローラさんに早速バラされていた。

「ちょっ!? ちょっとぉ~! フローラお姉ちゃんの裏切り者~!」

 途端に慌てふためくルキノちゃんも可愛い。

「ハァ...全くもう...この子は...どうせ馬が食べてくれるんだから、サボってもいいやなんて思ってたんでしょう...しょうがない子ね...」

 アスカさんがため息を吐いた。

「そ、そんなことないも~ん...」

 ルキノちゃんの目が泳いでいる。

「残念だけどルキノ、馬はとある場所に預けて来たからね? もう馬はアテに出来ないから、草むしりは自分で頑張りなさい?」

「う、ウッソぉ~...ま、マジでぇ~...」

 ルキノちゃんはこの世の終わりみたいな顔してる。そんなに草むしりするのイヤなんか?

「皆さん、お疲れでしょう? 今からご馳走を用意しますからね? それまでゆっくりなさっててくださいな」

 フローラさんがそう締めてくれたんで、ルキノちゃん親娘の微笑ましいやり取りはそこで終了となった。

「ありがとうございます。そうさせて貰いますね」


◇◇◇


 私達はリビングで寛ぎながら、キッチンで料理の仕込みを行っているフローラさんに、今回の件を掻い摘まんで報告していた。

 ちなみに手伝おうとしたアスカさんは、フローラさんから丁重に断られたので、私達と一緒に大人しく座りながらお茶を飲んでいる。

「そんなことが...まさかヒュドラと遭遇するだなんて...」

 フローラさんは、思わず仕込みの手を止めてしまうくらいに驚いていた。

「えぇ、私達もビックリしました。ですが、事前にフローラさんから情報を貰っていたので、結果的にはそれが今回の助けになりました。だからフローラさん、ありがとうございました」

「あぁ、いえいえ...私はそんな大したことした訳じゃありませんから...それにしても...皆さん、本当に無事で良かったです...」

 いや、ホントにね...マジでパーティー全滅の危機だったもんね...今こうしてこの場に居られること自体が奇跡みたいなもんだよね...

 私はしみじみとそう思っていた。
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