上 下
448 / 462

ブラッディソード

しおりを挟む
「それじゃここに出してくれ」

「はい」

 解体所に着いた私達は、ギルドマスターの指示に従い、セリカさんが収納していたヒュドラの亡き骸を取り出した。

「凄い大きさだな...」

 ギルドマスターが驚愕の声を上げる。戦っていた時は夢中で気付かなかったけど、確かにこうして改めて見るとデカいよね...尻尾の先まで含めたら約15,6mはありそうだもん...よくもまぁ、こんなデカいのを倒せたもんだなぁとしみじみそう思うよ...

「あ、そう言えばラウムさん。確かドロップアイテムもありましたよね?」

 忘れるところだったよ。

「あぁ、あの真っ赤な大剣のことか? あれ? そういやどこ行った?」

 ラウムさんが辺りを見回す。いやいや、探したってここにある訳ないじゃん。

「これですよね? 私が収納しておきました」

 するとセリカさんが、収納から件の真っ赤な大剣を取り出した。

「あぁ、それそれ。良かったよ。置いて来たかと思って焦った。収納しといてくれたんだな? ありがとう」

「どういたしまして」

 ラウムさん、ヒュドラとの戦いが終わった直後ぐらいから幼児退行が始まっていたからね。そこら辺の記憶が曖昧になってたみたいだ。

「ギルドマスター、この剣ですが念のため、呪われていないかどうかのチェックをお願いしたいんですが」

「その必要は無い。ヒュドラからのドロップアイテムだろ? だったら『ブラッディソード』で間違いない。呪われてはおらんから心配するな」

「そうなんですか?」

「あぁ、その昔、俺達のパーティーがヒュドラを倒した時にも同じアイテムが出た。ヒュドラが必ず落とすとは限らんが、落とす時は『ブラッディソード』だと、どうやら相場が決まっているらしいな」

「あぁ、なるほど...」

「レアアイテムだ。大事に使え。ちなみに名前の由来は、攻撃した相手を必ず血塗れにするからという物騒なものらしいな」

「そ、それはまた...」

「ラウム、お前さんの膂力があれば、そんな大剣でも使いこなせるだろ?」

「えぇ、まぁ...」

 ギルドマスターにお墨付きを貰えたラウムさんは、その場で赤い大剣改め『ブラッディソード』を素振りしてみた。

「うん、いい感じです。見た目より重さは然程感じませんね?」

「そうだろう? お前さんならイケると思ったよ。ちなみにウチのパーティーではアレックスのヤツが良く使ってたな」

 ギルドマスターはしばし遠い目をした。ラウムさんに昔の面影を重ねていたのかも知れないね。

「さて、査定の方だが、やはりコイツも滅多に出ない魔物なんで査定に少々時間が掛かる。査定が出るまで二、三日待っていてくれないか?」

「分かりました」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ  どこーーーー

ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど 安全が確保されてたらの話だよそれは 犬のお散歩してたはずなのに 何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。 何だか10歳になったっぽいし あらら 初めて書くので拙いですがよろしくお願いします あと、こうだったら良いなー だらけなので、ご都合主義でしかありません。。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~

ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」 聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。 その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。 ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。 王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。 「では、そう仰るならそう致しましょう」 だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。 言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、 森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。 これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

処理中です...