空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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ブラッディソード

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「それじゃここに出してくれ」

「はい」

 解体所に着いた私達は、ギルドマスターの指示に従い、セリカさんが収納していたヒュドラの亡き骸を取り出した。

「凄い大きさだな...」

 ギルドマスターが驚愕の声を上げる。戦っていた時は夢中で気付かなかったけど、確かにこうして改めて見るとデカいよね...尻尾の先まで含めたら約15,6mはありそうだもん...よくもまぁ、こんなデカいのを倒せたもんだなぁとしみじみそう思うよ...

「あ、そう言えばラウムさん。確かドロップアイテムもありましたよね?」

 忘れるところだったよ。

「あぁ、あの真っ赤な大剣のことか? あれ? そういやどこ行った?」

 ラウムさんが辺りを見回す。いやいや、探したってここにある訳ないじゃん。

「これですよね? 私が収納しておきました」

 するとセリカさんが、収納から件の真っ赤な大剣を取り出した。

「あぁ、それそれ。良かったよ。置いて来たかと思って焦った。収納しといてくれたんだな? ありがとう」

「どういたしまして」

 ラウムさん、ヒュドラとの戦いが終わった直後ぐらいから幼児退行が始まっていたからね。そこら辺の記憶が曖昧になってたみたいだ。

「ギルドマスター、この剣ですが念のため、呪われていないかどうかのチェックをお願いしたいんですが」

「その必要は無い。ヒュドラからのドロップアイテムだろ? だったら『ブラッディソード』で間違いない。呪われてはおらんから心配するな」

「そうなんですか?」

「あぁ、その昔、俺達のパーティーがヒュドラを倒した時にも同じアイテムが出た。ヒュドラが必ず落とすとは限らんが、落とす時は『ブラッディソード』だと、どうやら相場が決まっているらしいな」

「あぁ、なるほど...」

「レアアイテムだ。大事に使え。ちなみに名前の由来は、攻撃した相手を必ず血塗れにするからという物騒なものらしいな」

「そ、それはまた...」

「ラウム、お前さんの膂力があれば、そんな大剣でも使いこなせるだろ?」

「えぇ、まぁ...」

 ギルドマスターにお墨付きを貰えたラウムさんは、その場で赤い大剣改め『ブラッディソード』を素振りしてみた。

「うん、いい感じです。見た目より重さは然程感じませんね?」

「そうだろう? お前さんならイケると思ったよ。ちなみにウチのパーティーではアレックスのヤツが良く使ってたな」

 ギルドマスターはしばし遠い目をした。ラウムさんに昔の面影を重ねていたのかも知れないね。

「さて、査定の方だが、やはりコイツも滅多に出ない魔物なんで査定に少々時間が掛かる。査定が出るまで二、三日待っていてくれないか?」

「分かりました」
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