空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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能力開花

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 翌日の早朝、私達は王都への帰路に就いた。御者は引き続きアスカさんが務めてくれるというので、私はセリカさんと一緒に座席に着いた。ステラさんとラウムさんはまだ体調が優れないらしので、亜空間で休んで貰っている。

「そうでしたか...」

 道すがら、私がマックス達のことを話すと、セリカさんは神妙な顔付きになって目を伏せた。

「マックス達は本当にどうしようもないヤツらですね...アレックスさんにまで迷惑を掛けるなんて...」

「えぇ、全く...」

「カリナさん、改めてお詫び申し上げます...私の元パーティーメンバーが大変なご迷惑をお掛け致しまして申し訳ございませんでした...」

 そう言ってセリカさんは深々と頭を下げた。

「そんな...セリカさん、どうか頭を上げてくださいよ? セリカさんが謝る理由も責任も感じる必要もどこにも無いんですから...だってセリカさんはちゃんと忠告したじゃないですか? ギルドマスターもアレックスさんもちゃんと忠告してるんですよ? 全ての責任はそれらの忠告をガン無視したマックス達にあります。セリカさんはなんにも悪くないんだから謝らないでくださいよ?」

「すいません...ありがとうございます...」

 セリカさんはやっと頭を上げてくれた。


◇◇◇


 しばらく走って、お昼休憩のため立ち止まるまで、幸いなことに魔物と遭遇することはなかった。

 いつものようにセリカさんが出してくれた軽食を摘まみながら、雑談をしていた私達だったが、ふとアレックスさんの推測を思い出した私は、

「あの、ちょっといいですか?」

 側でゆっくりと草を食んでいるユニコーンの姿を眺めながら切り出した。

「はい?」

「なんでしょうか?」

「実はですね...」

 私はアレックスさんの披露した推測を、掻い摘まんでお二人に説明した。

「...ということなんですが、どう思われますか?」

 お二人はしばし無言で考え込んだ。ややあって、徐にアスカさんが語り始めた。

「カリナさん、私はアレックスさんが間違っていると思います」

「その根拠は?」

「恐らくアレックスさんは、ダンジョンの中で戦ったヒュドラに対しての経験則から判断してそう推測したんでしょうけど、ここはダンジョンの外ですからね。状況が全く違います」

「具体的には?」

「魔力濃度の違いです」

「魔力濃度?」

「えぇ、ダンジョンの中って魔力が充満してるんですよ。ダンジョン自体が魔力を帯びていますからね。だからダンジョン産の魔物には、魔力を吸い取る能力なんて必要無いんです。だってそこら中に魔力があるんですから。対して一歩ダンジョンの外に出てしまうと、途端に魔物は魔力が枯渇してしまうんだと思います。だから魔力を吸い取る能力を開花させる必要に迫られる。もしかしたらヒュドラは、元々その能力を兼ね備えていたのかも知れません。ダンジョンの中では必要無いから使ってなかったってだけで」
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