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白馬
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万事休す...ヒュドラをあと一歩のところまで追い詰めたっていうのに...あぁ、本当に悔しいな...
私は口唇を噛み締めながら、ただただヒュドラの九つ目の首を睨み付けることしか出来なかった。
九つ目の首は目が虹色に輝いている。あれが恐らく回復の力なんだろう。そうこうしている内に、せっかくお二方が落としてくれた他の八つの首が、ゆっくりと再生を始めた。もうダメだ...そんな絶望感に支配された時だった。
「ヒヒヒーンッ!」
突然、大きな嘶きの声が辺りに響き渡った。次の瞬間、私の亜空間の中からなにかが飛び出して来た。
「えぇぇっ!?」
私はビックリして思わず叫んでいた。なぜならそこには、一頭の美しい白馬の姿があったからだ。しかもその白馬は、螺旋状になった長くて美しい一本の角を頭から生やしていた。
白馬はまるで空を飛んでいるかのように、軽やかな足取りでヒュドラに近付いたかと思うと、九つ目の首目掛けて角を突き出した。
「プシュウッ...」
角に貫かれた九つ目の首は、そんな音と共にゆっくりと萎んでいった。そして今まさに、復活を遂げようとしていた他の八つの首も、再生の途中で動きを止め次第に萎み始めていた。
やがてヒュドラは完全に機能を停止した。あまりにも急な展開に私達が呆然としている中、当の白馬はまるで何事もなかったかのように近くの草をゆっくりと食んでいた。
◇◇◇
「カリナ、一体なにがどうなっているんだ!? あれは例の子馬なのか!?」
先に私達の所へ戻って来たラウムさんが、興奮混じりにそう聞いてきた。
「そ、それが...私にも良く分からないんです...亜空間を解除した覚えも無いですし...」
「子馬は? もしかしてまだ亜空間に居るのか?」
「ちょっと待ってください...あぁ、いつの間にか居なくなってますね...」
私は亜空間を見渡しながらそう答えた。
「じゃあやっぱり間違い無いんじゃないか?」
「でもなんで急に成長したんですか?」
今や子馬の面影はどこにも無い。立派な成体となった白馬は、我関せずとばかりに相変わらず草を食み続けている。
「それは...なんでだろうな!?...私にも分からん...」
「ラウムさん、理由の詮索は後回しにして、まずは事後処理を済ませてしまいましょう」
そこに遅れてやって来たアスカさんがそう提案した。
「あぁ、そうだな...」
「あ、ラウムさん。既に体の方は幼児退行化が進んでいるみたいなので、あまり無理はしないでくださいね?」
私な釘を刺すことを忘れなかった。
私は口唇を噛み締めながら、ただただヒュドラの九つ目の首を睨み付けることしか出来なかった。
九つ目の首は目が虹色に輝いている。あれが恐らく回復の力なんだろう。そうこうしている内に、せっかくお二方が落としてくれた他の八つの首が、ゆっくりと再生を始めた。もうダメだ...そんな絶望感に支配された時だった。
「ヒヒヒーンッ!」
突然、大きな嘶きの声が辺りに響き渡った。次の瞬間、私の亜空間の中からなにかが飛び出して来た。
「えぇぇっ!?」
私はビックリして思わず叫んでいた。なぜならそこには、一頭の美しい白馬の姿があったからだ。しかもその白馬は、螺旋状になった長くて美しい一本の角を頭から生やしていた。
白馬はまるで空を飛んでいるかのように、軽やかな足取りでヒュドラに近付いたかと思うと、九つ目の首目掛けて角を突き出した。
「プシュウッ...」
角に貫かれた九つ目の首は、そんな音と共にゆっくりと萎んでいった。そして今まさに、復活を遂げようとしていた他の八つの首も、再生の途中で動きを止め次第に萎み始めていた。
やがてヒュドラは完全に機能を停止した。あまりにも急な展開に私達が呆然としている中、当の白馬はまるで何事もなかったかのように近くの草をゆっくりと食んでいた。
◇◇◇
「カリナ、一体なにがどうなっているんだ!? あれは例の子馬なのか!?」
先に私達の所へ戻って来たラウムさんが、興奮混じりにそう聞いてきた。
「そ、それが...私にも良く分からないんです...亜空間を解除した覚えも無いですし...」
「子馬は? もしかしてまだ亜空間に居るのか?」
「ちょっと待ってください...あぁ、いつの間にか居なくなってますね...」
私は亜空間を見渡しながらそう答えた。
「じゃあやっぱり間違い無いんじゃないか?」
「でもなんで急に成長したんですか?」
今や子馬の面影はどこにも無い。立派な成体となった白馬は、我関せずとばかりに相変わらず草を食み続けている。
「それは...なんでだろうな!?...私にも分からん...」
「ラウムさん、理由の詮索は後回しにして、まずは事後処理を済ませてしまいましょう」
そこに遅れてやって来たアスカさんがそう提案した。
「あぁ、そうだな...」
「あ、ラウムさん。既に体の方は幼児退行化が進んでいるみたいなので、あまり無理はしないでくださいね?」
私な釘を刺すことを忘れなかった。
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