空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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 それから二時間ほどが経過した。上空を飛ぶステラさんからは、未だになんの連絡も来ない。

「一休みしましょうか? アスカさん、合図をお願いします」

「分かりました」

 アスカさんが上空に向けて火の魔法を放つ。これは予め決めてあったことで、アスカさんからのこの合図を見たら、ステラさんはすぐに降りて来ることになっている。

「お疲れ様でした。上から見た感じは如何ですか?」

 私はバスタオルとミネラルウォーターをステラさんに渡しなから尋ねた。

「無気味なくらいに静かですね...魔物どころか野生の動物の姿さえほとんど見掛けませんもん...」

 言われてみれば...私達は今、ちょっとした森の中に居るはずなのに、鳥の囀りも聞こえて来なければ小動物の鳴き声も聞こえて来ない。

「確かに気味が悪いな...」

 ラウムさんが周りを見渡しながらそう呟いた。

「えぇ...なんて言うか...嵐が過ぎ去るのを息を殺してジッと待っているみたいな...そんな印象を受けますよね...」

 アスカさんが続いた。

「い、一体全体どんな嵐なんでしょうか...」

 セリカさんは既にビビり始めている。

「さあて、ではそろそろもうひとっ飛びして来ますかね」

 そう言いながらステラさんはバスタオルを脱いだ。

「ステラさん、大丈夫ですか? 疲れていませんか?」

 長時間なのでちょっと心配になった。

「まだ大丈夫です。ご心配なく」


◇◇◇


 その後もステラさんからの連絡は特に無く、そろそろ日没が近付いて来た時間帯なので、今日はいったん引き上げようかと思っていた矢先だった。

 上空を飛んでいたステラさんがいきなり失速して地面に落ち始めた。

「ステラさん!」

 言うが早いか、セリカさんは瞬間移動でステラさんの落下予想地点まで飛んだ。

「先に行く!」

 ラウムさんは既に部分獣化した手足になっていた。一目散に駆けて行く。

「私達も急ぎましょう!」

「はい!」

 私もアスカさんと一緒に駆け出した。


◇◇◇


「セリカさん! ステラさんの様子は!?」

「ご覧の通りです...」

 セリカさんに抱き抱えられたステラさんは既に人間の姿に戻っていた。なにやら苦しそうに喘いでいる。

「恐らくだが毒にやられたんだと思う...」

 一足先に着いていたラウムさんが顔を歪めながらそう言った。

「えっ!? 毒!? 一体どこから!?」

「それはまだ分からん...」

 私とラウムさんがそんなやり取りをしている間に、アスカさんが手早くステラさんの容態を確認した。

「確かに毒で間違いないようです...私の治癒魔法では解毒が出来ないので毒消しを飲ませておきましょう...」
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