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一安心

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「カリナ、大丈夫なのか? なんともないか?」

「えぇ、今のところは特になにも」

「子馬の様子はどうなんだ?」

 ラウムさんは、正体不明のものを亜空間に収納した私のことを気遣ってくれているようだ。

「え~と...何事も無かったかのように草を食べてますね」

 私は亜空間を覗き込んでそう答えた。

「そうか...」

 心配そうにしていたラウムさんが、ホッと胸を撫で下ろしたように一つ息を吐いた。

「まさか...私達の後を追って来たってことなんでしょうか...」

 ステラさんはちょっと気味悪げな表情を浮かべている。

「いや、私達というよりカリナをじゃないか? 実際、お前と私は子馬が居たことにすら気付いていなかった訳だしな」

「あぁ、確かに...」

「ちょっとちょっと...勘弁してくださいよね...」

 お二人が私のことをジッと見詰めるもんだから、なんとなく居心地が悪くなってしまったじゃないか。

「か、カリナさん、つ、ついに神の使いである聖獣までをも誑し込むだなんて...」

「セリカさん、人聞きの悪い言い方するの止めてください。それじゃまるで私が人誑しみたいじゃないですか?」

「いや、それはあながち間違ってないような...」

「フローラさん、なにか言いましたか?」

「な、なんでもないです...」

「ママぁ、誑しってなあに?」

「ルキノはまだ知らなくて良いことよ?」

「ふぅん...」

 なんだかなぁ...いつの間にやら場の空気が、ちょっとしたカオス的な雰囲気に包まれてしまったので、

「皆さん、取り敢えず朝食にしませんか? 積もる話はその後ってことで」

 私は気分を変えるようにそう提案した。


◇◇◇


「今日はパーティーメンバー全員でギルドに向かおうと思います。皆さん、よろしいですか?」

 アスカさんとフローラさんが作ってくれた朝食を平らげ、食後のお茶を嗜んでいるところで、私は全員を見渡してからそう言った。

 スタンピードの件がその後どうなったのか気になるし、亜空間に収納している子馬のことも気になる。今後、どう扱ったらいいものやら皆目見当が付かない。

 ひょっとしたら、ギルドにならなにか情報があるかも知れないと目論見んでいたりする。

『異議なし』

 全員の声が揃った。

「という訳なんで、フローラさんはルキノちゃんとお留守番をお願いしますね?」

「はい、分かりました」

「カリナ、ちなみに今、子馬の様子はどんな感じなんだ?」

「え~と...丸くなってますね。寝てるのかな?」

「そうか...じゃあ一先ずは安心ってことだな」

「えぇ、そう思います」
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