空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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長い戦いの終わり

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「クエェェェッ!」

 最後の力を振り絞ったかのような雄叫びを上げながら、ステラさんがグリフォン目掛けて飛んで行く。

 その気迫に気圧されたのか、グリフォンがちょっと距離を取ろうと高度を上げる。だがそれを許さんとばかりにステラさんが体当たりした。

「ガオッウ!?」

 意表を突かれたのか、グリフォンがバランスを崩して高度を下げた。

「シャアアアッ!」

 それを見逃さなかったラウムさんは、ここぞとばかりに虎の力を使って高く高く跳躍した。

「ウオリャアッ!」

 ラウムさんが振るった破邪の剣が、グリフォンの右の翼を物の見事に切り裂いた。

「ガオンッ!?」

 片翼を失ったグリフォンは、飛ぶことが出来ずに地面へと落ちるように降下した。

「セリャアッ!」

 返す刀でラウムさんがグリフォンの首をかっ切った。グリフォンは首と胴体を真っ二つに分断され、夥しい量の血を吹き出しながら崩れ落ちた。

 長い長い戦いに終止符が打たれた瞬間だった。


◇◇◇


「ラウムさん! ステラさん!」

 私とセリカさんは殊勲のお二人の元に駆け寄った。

「フゥ...フゥ...」

「ハァ...ハァ...」

 肩で息をしてはいるが、お二人とも満足そうな表情を浮かべている。とても良い笑顔だ。

「やったな...お疲れさん...」

「やりましたね...お疲れ様でした...」

 お二人はがっちりと握手を交わした。

「ラウムさん、ステラさん、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました」

「お二方ともめっちゃカッコ良かったです! 私、感動しちゃいました!」

「ありがとう...」

「どういたしまして...」

「フローラさんが亜空間で待っていますので、まずは治癒を受けてくださいね?」

 お二人とも傷だらけだからね。まさに激戦の後って感じだ。

「あぁ、分かった...」

「了解しました...」

 お二人を亜空間に送った後、私とセリカさんはグリフォンの亡き骸に向かった。

「うぇぇぇっ! 血塗れですねぇ...」

 私は鼻を摘まんだ。血の匂いが気持ち悪かったからだ。

「腕が鳴りますね! 早速解体ショーと参りましょう!」

 セリカさんは嬉々として腕捲りしている。さすがは解体職人。だが私は待ったを掛けた。

「セリカさん、グリフォンの亡き骸は解体せずにこのまま持ち帰りましょう」

「へっ!? どうしてですか?」

「王都のギルドマスターにグリフォンを見せるためです。解体しちゃったら分かんなくなっちゃうでしょ?」

「あぁ、なるほど...」

 グリフォンの脅威をちゃんと知って貰う必要があるからね。

「セリカさん、すいませんがグリフォンの亡き骸の収納をお願いします。時間停止した方が良いと思いますんで」

 鮮度を保つ意味でもね。

「はい、分かりました」
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