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提言
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「ふぃ~...こんなところでいいんじゃないですか?」
吸血コウモリの亡き骸を集めるために、かなり大き目のビニールシートを用意したんだが、そのビニールシート一杯に広がった亡き骸を見やりながら、私は疲れ切った腰を伸ばして息を吐いた。
一体何匹いるのやら、数えるのもイヤになるくらいの量だ。
「えぇ、こんなもんでしょうね。お疲れ様でした」
「つ、疲れましたぁ~...あとなんか体中が焦げ臭い...」
私達三人はお互い疲れ切った顔を見合わせた。
「戻りましょうか...」
廃坑跡を出ると、辺りはすっかり夕方になっていた。私達は町への帰路に就いた。
◇◇◇
「ナディアさん、ただいま戻りました」
ギルドに着くと、中はちょうど一仕事終えたらしい冒険者達でごった返している。夕暮れ時に良く見る光景だ。私は他の冒険者相手に忙しくしているナディアさんに声を掛けた。
「あぁ、カリナさん、お帰りなさい。首尾は如何でした?」
「上々です。駆除完了の報告をしたいんですけど、ここに獲物を出しても良いですか?」
「あぁ、いえいえ。別室を用意しますんで少々お待ちください」
そう言ってナディアさんは、別のスタッフに声をを掛けて担当を代わって貰っていた。
「お待たせしました。どうぞこちらに」
私達は会議室みたいな場所に案内された。
「ここなら出していただいても大丈夫です。と言っても...」
そこでナディアさんは、私達が手ぶらであることにようやく気付いたようだ。
「え~と...どこにあるんですかね?」
「ここです」
私は亜空間からビニールシートごと吸血コウモリの亡き骸を取り出した。
「うきゃっ!?」
ビニールシート一杯に広がった吸血コウモリの亡き骸の山を見たナディアさんは、文字通り飛び上がってビックリしていた。こんなにあるとは思ってなかったんだろう。
「た、確かに駆除は完了したみたいですね...にしても...凄い量ですね...」
「えぇ、まさかこんなに棲み付いているなんて思わず、私達もビックリしましたよ」
改めて見ても凄い量だよね。
「ナディアさん、差し出がましいようですが...」
その時、ステラさんが遠慮がちに話し掛けた。
「はい?」
「いったんは駆除しても、放置しておいたらまたすぐに吸血コウモリが棲み付くと思います。廃坑跡の入り口を封鎖しておいた方が良いと思いますよ? あるいはそもそも採掘ツアーからあの場所を外すとか?」
「た、確かに...」
ナディアさんが神妙な顔付きで頷いた。私も激しく同意した。
吸血コウモリの亡き骸を集めるために、かなり大き目のビニールシートを用意したんだが、そのビニールシート一杯に広がった亡き骸を見やりながら、私は疲れ切った腰を伸ばして息を吐いた。
一体何匹いるのやら、数えるのもイヤになるくらいの量だ。
「えぇ、こんなもんでしょうね。お疲れ様でした」
「つ、疲れましたぁ~...あとなんか体中が焦げ臭い...」
私達三人はお互い疲れ切った顔を見合わせた。
「戻りましょうか...」
廃坑跡を出ると、辺りはすっかり夕方になっていた。私達は町への帰路に就いた。
◇◇◇
「ナディアさん、ただいま戻りました」
ギルドに着くと、中はちょうど一仕事終えたらしい冒険者達でごった返している。夕暮れ時に良く見る光景だ。私は他の冒険者相手に忙しくしているナディアさんに声を掛けた。
「あぁ、カリナさん、お帰りなさい。首尾は如何でした?」
「上々です。駆除完了の報告をしたいんですけど、ここに獲物を出しても良いですか?」
「あぁ、いえいえ。別室を用意しますんで少々お待ちください」
そう言ってナディアさんは、別のスタッフに声をを掛けて担当を代わって貰っていた。
「お待たせしました。どうぞこちらに」
私達は会議室みたいな場所に案内された。
「ここなら出していただいても大丈夫です。と言っても...」
そこでナディアさんは、私達が手ぶらであることにようやく気付いたようだ。
「え~と...どこにあるんですかね?」
「ここです」
私は亜空間からビニールシートごと吸血コウモリの亡き骸を取り出した。
「うきゃっ!?」
ビニールシート一杯に広がった吸血コウモリの亡き骸の山を見たナディアさんは、文字通り飛び上がってビックリしていた。こんなにあるとは思ってなかったんだろう。
「た、確かに駆除は完了したみたいですね...にしても...凄い量ですね...」
「えぇ、まさかこんなに棲み付いているなんて思わず、私達もビックリしましたよ」
改めて見ても凄い量だよね。
「ナディアさん、差し出がましいようですが...」
その時、ステラさんが遠慮がちに話し掛けた。
「はい?」
「いったんは駆除しても、放置しておいたらまたすぐに吸血コウモリが棲み付くと思います。廃坑跡の入り口を封鎖しておいた方が良いと思いますよ? あるいはそもそも採掘ツアーからあの場所を外すとか?」
「た、確かに...」
ナディアさんが神妙な顔付きで頷いた。私も激しく同意した。
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