空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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作戦決行

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「ステラさん! それって本末転倒じゃないですか! 大出力の魔法をぶっ放すのとなにが違うっていうんですか!」

 私はなんとか止めようと必死だったが、

「全然違いますよ? 魔法だとかなりの確率で落盤が起きるかも知れませんが、メタンの方はもしかしてですから。確率は大分下がりますよ?」

 脳筋ステラさんはそんなことお構い無しに平然と言い放った。

「そんなのギャンブルじゃないですかぁ~! こんなことに命懸けるのなんてイヤですよぉ~!」

 既にセリカさんは涙交じりの声になってる。

「大丈夫ですって。こう見えても私、カジノで負けたことありませんもん」

「えっ!? ステラさんってカジノに行ったことあるんですか!?」

 大人だなぁ~...って、感心してる場合じゃねぇ!

「あぁ、いえいえ。行ったこと無いんで負けたことも無いって意味です」 

 ...ダメだコイツ...早くなんとかしないと...

「なんですかそれ! 言葉遊びしてる場合じゃないんですよ! とにかく! とてもじゃないけど、そんな危険な作戦はパーティーリーダーとして許可できません!」
 
 ついに私は強権を発動することにした。

「じゃあどうするんですか?」

「取り敢えず、いったん町に戻って態勢を整えます。ナディアさんに聞いてみましょう。有効な対策法を教えてくれるかも知れませんし」

「なるほど。でも今から町との間を往復してたら夕方になっちゃいますよ?」

「それがどうかしましたか? まだ十分日帰りの範疇だと思いますが?」

「吸血コウモリって夜行性だから、夕方になったら活発に動き出しますよ?」

「...」

「駆除するなら、比較的大人しくしている昼間の内に済ませるべきだと思いますが?」

「...」

 私とセリカさんは沈黙するしかなかった。 


◇◇◇


「いいですか、ステラさん。くれぐれもあんまり急激に動いたりしないでくださいよ!」

「気を付けます」

「セリカさん、ステラさんを離さないようにしてくださいね!」

「わ、分かりましたけどぉ...ほ、本当にやるんですかぁ~...」

「泣き言いわない! やるしかないんですよ!」

 泣きたいのはこっちだ!

「タイミングを合わせますよ?」

 今、私達は端から見たら不思議な格好をしているように映ることだろう。まず私とセリカさんが互いに右手で、ステラさんの腰のベルト付近をしっかりと掴んでいる。そしてこれまた私とセリカさんは、互いの左手をしっかりと繋ぎ合っている。

 なんでこんなことをしているのかというと、これからステラさんが火矢で吸血コウモリのコロニーを攻撃する。

 周り中が火の海になるだけなら私の亜空間に逃げ込めばいいが、爆発が起こった場合は落盤する前にセリカさんの瞬間移動で逃げる必要がある。

 そのために考案した布陣がこれだった。この布陣なら三人がバラバラになるようなことはないだろう。

「カウントダウン開始します! 3、2、1、今!」
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