空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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廃坑跡

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「どれどれ...ふうん、なるほど...廃坑跡に住み着いた吸血コウモリの駆除ですか」

「えぇ、実は観光の目玉の一つとして『廃坑跡巡りツアー』というものを計画しておりましてね。その一環として、まずは廃坑跡を安全にする必要があるんですよ。それでギルドに依頼がきたって訳なんです」

「それってこの町でやってる『採掘ツアー』の野外版みたいな感じなんでしょうか?」

「まさにその通りです。この町の周辺に位置する廃坑跡を二、三日掛けて巡りながら採掘を体験して貰うツアーになります」

「なるほどなるほど、人気の出そうなツアーですね?」

 私もちょっと行ってみたくなったよ。昨日採掘を体験したお二人も同じように思ったらしい。目を輝かせてる。

「はい、そうなることを願ってます」

 良し、この仕事で決まりだね。

「分かりました。お引き受けしましょう」

「ありがとうございます。では受付の方で手続きをお願いします」

「了解です。あ、ちなみに場所はどの辺りなんでしょうか?」

「ここから馬車で30分ほど走った辺りになります」

 うん、それなら確かに日帰りでイケそうだね。

「ちなみに廃坑になる前はなにが採れたんですか?」

「ダイヤモンドですね」

 それを聞いた瞬間、私達の目がキラーンと輝いたのは言うまでもない。

「残念ながら既に廃坑になって久しいですから、ダイヤモンドは期待しないほうが良いですよ?」

 私達の表情を読んだのか、ナディアさんは苦笑しながらそう言った。

「ははは...分かってますとも...」

 口ではそう言いながらも、やっぱりどこか期待しちゃうのが人の性ってもんよ。


◇◇◇


 私達は馬車に揺られながら作戦会議を行った。

「吸血コウモリってその名の通り、血を吸う魔物ってことで合ってますよね?」

「あぁ、いえいえ、カリナさん、吸血コウモリは魔物じゃありませんよ?」

「えぇっ!? 魔物じゃないんですか!?」

 私はビックリしてステラさんに聞き返していた。

「えぇ、魔物じゃなくて単なる野性動物です。だからこの依頼は害獣駆除ってことになりますね」

「そうなんですね...ダンジョンにも居たからてっきり魔物だとばっかり...」

「私もそう思ってました...」

 セリカさんもビックリしている。

「ダンジョンに居るのはまた別の種類の吸血コウモリなんですよ。野性動物の方はもっと小さい種類になります」

「なるほど」

 あんまり良く覚えてないけど、ダンジョンの天井からぶら下がっていた吸血コウモリは、猫よりちょっと大きいぐらいのサイズだったような気がする。

「ちなみに血を吸われると、野性動物の方でも酷い目に遭ったりするんですかね?」

 確か魔物の吸血コウモリに血を吸われると、病原菌をうつされて大変な目に遭うんだったよな。

「えぇ、それは同じです。だから吸われないように注意してくださいね?」

「ひぇ...わ、分かりました...」

 セリカさんがビビッてしまった。

「あ、廃坑跡が見えてきましたよ?」
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