空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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とってもデジャヴ

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 その日の深夜過ぎ、仕事を終えたフローラさんが帰宅した。

「お帰りなさい。首尾はどうでしたか?」

「ただいま戻りました。はい、店長に相談した所、すぐに新しい求人を募集してくれることになりまして、その結果次第ではありますが、遅くとも一週間くらいで次の人は決まるかと思います」

「ほうほう、結構早く後釜って決まるもんなんですね?」

「えぇ、うちの居酒屋は結構な人気店なので働きたいって言ってくる人は後を絶たないそうなんです。だから求人すればすぐに埋まるだろうと店長は言ってました」

「なるほどなるほど。確かにお客の入りは良い店ですもんね」

 私は護衛任務中の居酒屋のごった返した雰囲気を思い出していた。なんせ開店早々からお客さん来てたもんね。

「なんにせよ、早く決まりそうで良かったです。ところで他の連中はどうしました?」

 するとフローラさんは苦笑しながらドアの外に目を向けた。

「ほ、ほら! ラウムさん、しっかり! もうすぐ着きますから!」

「お、重いです~!」

「うっひゃひゃひゃあっ! おらぁ~! もっと酒持って来~い!」

「ま、真夜中なんでお静かに!」

「み、耳元で叫ぶの止めて~!」

 あぁ、ラウムさん...あんたもか...なんだかとってもデジャヴ...

「フローラさん、本当にすいません...」

「いえいえ...」

 近所迷惑になるんで、私は有無を言わさず三人を亜空間に放り込んだ。


◇◇◇


 翌朝、

「うぅぅ...あ、頭が割れるように痛い...」

 いっそ割れちまえ! 私は二日酔いに苦しむラウムさんを冷たい目で見やった。

「皆さん、私言いましたよね? くれぐれもフローラさんに迷惑を掛けないようにって。それなのになんですか? この体たらくは?」

「わ、私は今回は一滴も飲んでませんよ?」

「わ、私だって腹八分目に抑えてましたもん!」

 ステラさんとセリカさんの二人はなにやら言い訳めいたことを口にした。

「黙らっしゃい! 一緒に行ったラウムさんを止めなかったお二人にも責任はありますからね!」

『も、申し訳ございません..』

 二人が頭を下げた。

「み、水...み、水を...」

 二日酔いは放置しよう。

「カリナさん、どうかそのくらいで...」

 優しいフローラさんは、ラウムさんに水の入ったコップを渡しながらそう言ってきた。

「フローラさん、あんまり甘やかさないでくださいよ?」

 甘やかすと付け上がるからね。

「いえ、そうじゃなくて、沢山飲み食いしてくれた方が店側としては助かりますから」

 あぁ、なるほど。そういうことね。
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