346 / 462
捕獲
しおりを挟む
その後、閉店時間に近付くまでフランツ氏が姿を現すことはなかった。
店内組のラウムさんは手持ち無沙汰な様子で、セリカさんに至ってはウトウトと船を漕いでいる始末だ。説教ネタが一つ増えたな。
私達にもそんな弛緩した空気が流れ始めた頃だった。閉店間際、お客さんの数も疎らになった辺りで、ラウムさんが緊張感を強めたのが分かった。
「来ましたよ」
私も目視で確認した。まるで幽鬼のような様子のフランツ氏が、フラフラとした足取りで店の中に入って来た。
そしてフローラさんの姿を見付けるや否や、急にしっかりとした足取りになって近付いて行った。
すかさずラウムさんが立ち上がって進路を塞ぐ。
「なんだお前は!? そこをどけ! 俺はあの女に用があるんだ!」
私は唾を飛ばしながら喚き散らすフランツ氏に亜空間から近付き、物も言わず亜空間へと引っ張り込んだ。ついでにラウムさんも回収する。セリカさんは放っておいた。
「な、なんだなんだ!? い、一体なにが起こった!? こ、ここはどこだ!?」
フランツ氏がパニックに陥った。まぁ無理もないが。
「こんばんわ、フランツさん。お久し振りですね。私のことを覚えていますか?」
「あ、お前は! フローラの護衛をしている冒険者!」
「えぇ、そうです。覚えて頂いていたとは光栄ですね」
私は心にもないことを言った。
「一体なんの真似だ!? ここは一体なんだ!?」
「ここは私が作った亜空間の中ですよ」
「亜空間!? なんだそりゃ!?」
まぁ普通の生活をしている人には馴染みがなくて当然だよね。
「空間魔法の一種ですよ。私は空間魔法使いなんで」
「空間魔法だとぉ!? そんな魔法聞いたことないぞ!?」
「まぁそりゃそうでしょうねぇ。あんまりメジャーな魔法じゃありませんから」
私だってセリカさん以外に会ったことないもんね。
「そうなのか...って、そんなもんどうだっていい! なんだって俺をこんな所に連れ込みやがったんだ!?」
「あなたとちょっとお話ししたいと思ったからご招待したんですよ」
「話だと!? 一体なんなんだ!? それにあれは招待じゃなくて拉致だろ!?」
フランツ氏、中々に鋭いじゃないか。確かに拉致ったってのも強ち間違ってはないわな。
「まぁまぁ、落ち着いて下さいな。話はすぐ終わりますから。フランツさん、あなたは金で雇った破落戸に私達を襲うよう依頼しましたね?」
私はいきなり核心を突くことにした。
「な、なんのことだ!? ま、全く記憶にないが!?」
フランツ氏は目を泳がせながらシラを切った。
店内組のラウムさんは手持ち無沙汰な様子で、セリカさんに至ってはウトウトと船を漕いでいる始末だ。説教ネタが一つ増えたな。
私達にもそんな弛緩した空気が流れ始めた頃だった。閉店間際、お客さんの数も疎らになった辺りで、ラウムさんが緊張感を強めたのが分かった。
「来ましたよ」
私も目視で確認した。まるで幽鬼のような様子のフランツ氏が、フラフラとした足取りで店の中に入って来た。
そしてフローラさんの姿を見付けるや否や、急にしっかりとした足取りになって近付いて行った。
すかさずラウムさんが立ち上がって進路を塞ぐ。
「なんだお前は!? そこをどけ! 俺はあの女に用があるんだ!」
私は唾を飛ばしながら喚き散らすフランツ氏に亜空間から近付き、物も言わず亜空間へと引っ張り込んだ。ついでにラウムさんも回収する。セリカさんは放っておいた。
「な、なんだなんだ!? い、一体なにが起こった!? こ、ここはどこだ!?」
フランツ氏がパニックに陥った。まぁ無理もないが。
「こんばんわ、フランツさん。お久し振りですね。私のことを覚えていますか?」
「あ、お前は! フローラの護衛をしている冒険者!」
「えぇ、そうです。覚えて頂いていたとは光栄ですね」
私は心にもないことを言った。
「一体なんの真似だ!? ここは一体なんだ!?」
「ここは私が作った亜空間の中ですよ」
「亜空間!? なんだそりゃ!?」
まぁ普通の生活をしている人には馴染みがなくて当然だよね。
「空間魔法の一種ですよ。私は空間魔法使いなんで」
「空間魔法だとぉ!? そんな魔法聞いたことないぞ!?」
「まぁそりゃそうでしょうねぇ。あんまりメジャーな魔法じゃありませんから」
私だってセリカさん以外に会ったことないもんね。
「そうなのか...って、そんなもんどうだっていい! なんだって俺をこんな所に連れ込みやがったんだ!?」
「あなたとちょっとお話ししたいと思ったからご招待したんですよ」
「話だと!? 一体なんなんだ!? それにあれは招待じゃなくて拉致だろ!?」
フランツ氏、中々に鋭いじゃないか。確かに拉致ったってのも強ち間違ってはないわな。
「まぁまぁ、落ち着いて下さいな。話はすぐ終わりますから。フランツさん、あなたは金で雇った破落戸に私達を襲うよう依頼しましたね?」
私はいきなり核心を突くことにした。
「な、なんのことだ!? ま、全く記憶にないが!?」
フランツ氏は目を泳がせながらシラを切った。
24
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる