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過去話

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「フローラさん、ちょっとお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ。なんでしょうか?」

「保母さんを目指していたとおっしゃっていましたけど、断念なされた理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「あぁ、それは...お恥ずかしい話なんですが...実は私の両親が事業に失敗しちゃいまして...借金を背負っちゃって私の学費が払えなくなっちゃったんです...それまで私は保母さんを養成する学校に通っていたんですが...仕方なく....泣く泣く退学するハメに...」

「そうだったんですね...」

「その後はベビーシッターのバイトなんかを掛け持ちしながらお金を稼いで、なんとか復学することを目指していたんですが...やっぱりバイトだとお給金は少なくて...少しでもお給金の良い居酒屋に勤めることにしたんです...」

「なるほど...」

「でも中々お金は貯まらなくて...両親の借金の返済を手伝ったりもしてましたから...そうこうしている内に、復学可能な年齢も過ぎてしまって...目標を失った後は、ただなんとなく毎日を過ごすだけの日々でしたね...」

「フローラさん...なんかその...すいません...」

 私は頭を下げるしかなかった。

「あぁ、いえいえ。気にしなで下さいな。幸いなことに両親の借金も返し終わったんで、今は憂いとかも特にありませんし」

「それはなによりです...」

 うん!? でもそういうことなら、フローラさんはこの町を離れても問題ないってことになるんじゃね!?

 私は期待を込めてフローラさんを見詰めた。

「フローラさん、こんな時にイヤらしい話で恐縮なんですが...パーティーメンバーに加わって頂いたら、少なくとも居酒屋のお給金よりは遥かに稼げることをお約束します」

「そ、そうなんですね...」

 おっ!? フローラさんがちょっと靡いたかも!?

「えぇ、これまで苦労していらっしゃったフローラさんには、これから幸せになる権利があると思います。なので、どうか前向きにご検討下さい」

「わ、分かりました...」

 おやっ!? フローラさんの目が泳ぎ始めたかも!? 良し良し。これは良い兆候だね。あともう一押しかも知れないね。

「あ、そうそう。フローラさんにお世話をお願いしたいと思っているルキノちゃんに関してなんですが、これがもうお人形さんみたいに可愛いらしい女の子なんですよ~♪ 一目会ったらキュンキュンしちゃうくらいに~♪ 是非ともフローラさんに紹介したいですね~♪」
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