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理由

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『えぇっ~!?』

 私の発言に驚いたのはフローラさんだけじゃなく、セリカさんも同様だったみたいで、お二人の叫びがキレイにハモッた。

「か、カリナさん!? そ、それってどういう意味ですか!?」

「どういうって...言葉通りの意味ですがそれがなにか!?」

「いやいや私、確かに治癒魔法は使えますけど...素人に毛が生えた程度のショボいものでして...とてもじゃありませんが冒険者になるなんて無理ですよ!?」

「いえ、冒険者としてじゃなく、子守り役とお留守番役をお願いしたいと思っています」

「子守り!? お留守番!?」

 フローラさんの頭にクエスチョンマークが浮かんだ。まぁそれも当然で、これだけで分かるはずがない。

「実は今現在、我がパーティーのパーティーホームには、アスカさんの娘さんで5歳になるルキノちゃんが一人でお留守番しているんですよ。もちろん、ベビーシッターは付けてますけどね」

「そうだったんですね...」

「ルキノちゃんは私達が仕事に出る時は、決まって一人でお留守番するハメになっちゃう訳なんですよね。今は信頼の置けるベビーシッターを雇っていますけど、いつまでもこのままって訳にはいかないなって思ってるんですよ」

「ハァ...」

「そこで誰かもう一人、パーティーに加わって貰って、私達が安心して仕事に出れるように、パーティーホームの留守を守っていて貰いたいなって思った訳です。ただこれは、誰だっていいって訳じゃありません。信頼の置ける人じゃないと論外だし、子守りを嫌がらない人じゃないといけない。フローラさんが適任だと思ったのはまさにその点です」

「あぁ、なるほど...」

「ここ何日か一緒に暮らしていて、フローラさんの誠実さは身を持って実感できましたし、更にその上保母さんを目指すほど子供好きとなれば、もうこの人しか居ないって思っちゃいました」

「ハハハ...」

「フローラさん、如何でしょうか? もちろん、ストーカーの件が片付いてからになりますが、前向きにご検討してみて貰えないでしょうか?」

「え~と...すいません...ちょっと考えさせて下さい...」

 まぁそりゃそうだよね。フローラさんにとってみれば一生を左右するかも知れない選択なんだもん。軽々しく結論は出せないよね。

「えぇ、じっくりご検討下さい。あ、セリカさん。勝手に暴走しちゃってすいません。事後承諾で申し訳ないんですが、セリカさんも賛成してくれますよね?」

「はい! 私もフローラさんがいいと思います!」

 良かった。良かった。まずは第一関門クリアだね。あとはお三方が帰って来てから。特にアスカさんの意見は真っ先に聞かないといけないよな。
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