空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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誕生日

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「それじゃ二手に分かれましょうか。お三方、よろしくお願いします」

『応!』

 お三方が部屋を出て行った後、私はフローラさんに尋ねた。

「フローラさん、今日の予定はなにかありますか?」

「いえ、特にありません。新聞の天気予報によると午後から雨になるそうなので」

「そうなんですか?」

「えぇ、ここに載っています」

 フローラさんが新聞のお天気欄を指差した。

「あ、ホントだ。午後から雨の確率80%になってますね」

「えぇ、ですから今日は仕事の時間まで家でノンビリ過ごそうかと思ってます」

「なるほど」

「あ、ステラさん達は大丈夫でしょうか? 雨具の用意なんてしてなかったですが?」

「子供じゃないんだからなんとかするでしょう。心配要りませんよ?」

「あ、私雨具を幾つか収納してます。ステラさん達に届けて来ましょうか?」

 セリカさんが収納から傘やレインコートを取り出した。

「う~ん...止めておきましょう。今から行ってもスレ違いになるかも知れないし。確か冒険者ギルドの売店で売ってたと思うんで、現地調達して貰うことにしましょう」

「あぁ、なるほど。確かに売ってましたね。分かりました」

「あれ?」

 そこで私は何気に見ていた新聞の日付が目に留まった。

「あ、今日は○月△日なんだ...」

「日付がどうかしましたか?」

 セリカさんが訝し気に聞いて来る。

「あぁ、いえいえ。大したことじゃないんですが、私の誕生日だなぁって思って...」

 思い返せばこの一年の間に、様々な出来事が怒涛のように押し寄せて来たよなぁ...自分がこの世に生まれてまだまだ本当に短いと言える生涯の内、間違いなく一番濃い一年間だった。

 私がそんな風に思いを馳せていると、

「へぇ~ 誕生日なんですかぁ~ んんん!? た、誕生日ぃ~!?」

 いきなりセリカさんが騒ぎ出した。

「セリカさん、どうかしましたか?」

「ど、どうかしましたかって...カリナさん、今日がお誕生日なんですよね!?」

「えぇ、そう言いましたが。それがなにか?」

「なにかじゃないですよ! 誕生日は盛大にお祝いする日じゃないですか!」

「えぇっ~!? 誕生日ってお祝いする日なんですか!?」

 そんなこと初めて聞いたよ。私はこの短い生涯の間、誕生日を祝って貰ったことなんて一度足りともなかったからね。

 それどころか、思い返したくもない去年の10歳の誕生日の日に、私は家族から全てを取り上げられたんだから...

 まぁその家族も既にこの世には居ない訳だし、結果的に私が家を出るキッカケとなってくれたんだから、ある意味私にとっては記念日と言えるのかも知れないけどね。
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