空間魔法って実は凄いんです

懇願

「え～と...それはなんに対しての謝罪ですか?」

「全てです!」

　セリカさんがみんなを代表する形で答えた。

「私達が間違ってました!　カリナさんがおっしゃったことは全面的に正しかったです!　本当に申し訳ありませんでした!」

「セリカさん、謝罪する必要はありませんよ。今回の件はどっちかが間違っててどっちかが正しかったって言う次元の問題じゃないんです。どっちも正しくてどっちも正解なんですよ。だから謝らないで下さい」

「へっ!?　あ、あの...それってどういう...」

「要するに方向性の違い、主義主張の違いってことです。あなた方は安定を求め、私は冒険を求めた。その時点でお互いの道は分かれました。つまりは何れ私達は別れる定めにあったという訳ですよ」

「そ、そんな...」

「ちょっと待った!　頼むからそんな寂しいこと言わないでくれ!」

　言葉を失ったセリカさんに代わってラウムさんが後を継いだ。

「でも事実ですから」

「私達に歩み寄るチャンスを与えて欲しい!　今度はちゃんとカリナの意見を尊重するから!」

「これはステラさんにも言ったんですが、一度広まってしまった溝ってそんな簡単には埋まらないと思うんですよね。それにもう私は誰ともパーティーを組む気はないんです。という訳でどうかお引き取りを」

「そ、そんな...」

「待って下さい!」

　またしても言葉を失ってしまったラウムさんに代わって、最後にアスカさんが後を継いだ。

「まだなにか?」

「だったら最後にもう一度!　もう一度だけ私達と一緒に冒険してくれませんか?」

「冒険?　どんな?」

「なんだって構いません!　カリナさんが希望する所ならどこでも!　ダンジョンでも古代遺跡でもなんでも!」

「無理です。私は今、護衛任務中ですので」

「だったら私達にもお手伝いさせて下さい!」

「これもステラさんに言ったんですが...間に合ってます。私一人で十分ですので」

「そんなこと言わずに!　お願いですから!」

「あれ?　ちょっと待って下さい。ステラさんはどこ行ったんですか?」

　いつ気付くかと思ってたんだが、やっとセリカさんが気付いたようだ。

「二日酔いでぶっ倒れたので、私の亜空間に収納してますよ?」

「な、なにやってんだアイツは...」

　ラウムさんが頭を抱えた。

「ステラさん...」

　アスカさんは絶句している。

「ステラさん、お仲間が到着しましたよ?」

　私はステラさんを亜空間から引っ張り出した。

「うぅ...気持ち悪い...頭が痛い...」

　ステラさんは相変わらず青い顔色のままだ。