空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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惨状

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 翌日の朝。

「おはようございます」

「おはようございます...」

「うん? フローラさん、もしかして寝不足ですか? 私、寝相が悪かったりイビキとか歯軋り、寝言なんかが五月蝿かったりしました?」

「いえ、そんなことはなかったんですが...」
 
 そこでフローラさんはまだ寝袋で寝ているステラさんの方にチラッと目をやった。

「あ、ひょっとしてステラさんがイビキその他で五月蝿かったとか?」

「いえ、そういうことじゃなくてですね...なんというかプレッシャーみたいなものを感じまして...」

「プレッシャー? どんな?」

「カリナさんに指一本でも触れたら許さないみたいな...」

「ハァ!? なんですかそれ!? 意味分かりませんけど!?」

「分からないならいいです...」

「ハァ...」

 なんだか良く分からないけど、取り敢えずステラさんを起こすか。

「ステラさん、朝ですよ? 起きて下さい?」

「う~ん...もう食べられないよ~...」

 どうやら幸せな夢を見ているらしい。申し訳ないがそろそろ亜空間から出たかったので叩き起こすことにした。


◇◇◇


「こ、これは...」

 亜空間から出た途端、フローラさんが絶句した。なぜなら部屋の中が荒らされていたからだ。

 床には複数人の足跡が入り乱れ、ベッドは剥がされシーツが床に落ちている。テーブルの上にあった食器類などが床に散乱している。机の上の本などもバラバラに乱されて、可愛いアクセサリーやぬいぐるみなどは床に落とされ足蹴にされていた。

「ドアの鍵が壊されてますね。フローラさん、盗られた物はなにかありますか?」

「ちょっと待って下さい...調べてみます...」

「ステラさん、片付け手伝って下さい」

「分かりました...それにしても酷い...」

 私とステラさんは床に散らばった物をかき集めたり埃を払ったりした。

「亜空間に避難しておいて正解でしたね」

「えぇ、全くです...しかしここまでやりますか...」

「踏み込んでみたら私達が居なかったので、憂さ晴らしでもしたんでしょうね」

「最低ですね...」

 粗方部屋が片付いた後、ショックを受けたのか青い顔になったフローラさんは、

「盗られた物はないようです。壊された物は多いですが...」

「そうですか。なんというか不幸中の幸いでしたね」

「金目の物は全て隠し金庫に入れてありましたから。幸いなことにその場所は見付からなかったようです」

「良かったです。それにしてもこれは許せませんね」

 私は荒らされた部屋を見渡して怒りを露にした。
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