空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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本末転倒

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「フゥ...ご馳走様でした...」

 私は腹を擦りながらそう言ったのだが、お二人はまだまだ余裕たっぷりと言った感じだ。

「美味しかったですね~♪」

「やっぱ運動した後ってのがいいですよね~♪ いくらでも食べられますよ~♪」

 ...なんだかこの二人気が合いそうだな...

「皆さ~ん! お食事は堪能して頂けましたね~! それじゃあそろそろ出発しますので、遅れないように付いて来て下さいね~! 麓に戻るまでがツアーですからね~!」

 ガイドのお姉さんがまるで「家に着くまでが遠足ですよ」みたいな口調でそう言うので、私は思わず笑ってしまった。

「さっさと行きましょう! とっとと行きましょう! やれ行きましょう! さぁ行きましょう!」

 ステラさんは私達の背中を押すようにして歩き出す。絶景に完全に背を向けて。よっぽどこの場所から早く立ち去りたいようだ。

 恐怖症を克服する気皆無じゃんか...


◇◇◇


「皆さ~ん! お疲れ様でした~! 鉱山跡の見学ツアーはこれにて終了になりま~す! お越し頂きましてありがとうございました~!」

 麓に着いた後、ガイドのお姉さんが挨拶をしてツアーは終了となった。

「お疲れ様でした~」

「楽しかったですね~」

「金を掘り当てられなかったのは残念でしたが...」

 三者三様の感想を述べながら帰路に就いた私達だったが、連絡馬車を降りた所でまたしても複数人の輩に囲まれた。

「フローラさん、亜空間に」

 私はフローラさんの体に触れて亜空間に放り込んだ後、

「ステラさん、お任せして大丈夫ですか?」

「お任せ下さい! 食後の運動にちょうどいいです! 蹴散らしてやりますよ!」

 ステラさんが指をポキポキ鳴らしながら相手に詰め寄る。うん、とっても頼もしい。どうやら問題無さそうだな。

 私は不安な気持ちでいるであろうフローラさんの元に向かった。

「フローラさん、大丈夫ですか?」

「あぁ、カリナさん...えぇ、私は平気ですが...ステラさんはお一人で大丈夫でしょうか...」

「心配要りません。なぜなら脳筋なんで」

「...だから脳筋ってそんな便利な言葉でしたっけ...」

 そんなこんなやっている内に、全員を片付けたステラさんは、

「いやぁ、良い運動になった!」

 と脳筋丸出しのセリフを吐いていた。ほらね? 問題なかったでしょ?

「ステラさん、お疲れ様でした」

「軽いもんですよ!」

「それにしても、しつこい連中ですよね...」

「えぇ、なんか意地になっているというか本末転倒というか。フローラさんが目的っていうより、私達を叩きのめすことが目的になってるような気がしますよね」
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