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観光

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「え、え~と...そ、その...ふ、不束者ですが、よ、よろしくお願いします...」

「どういたしまして?」

 良く分からない挨拶をしながら、フローラさんはベッドに潜り込んで来た訳なんだが、あれって一体どういう意味だったんだろ?

 まぁいいや。眠いしさっさと寝ちゃおう。お休みなさい...zzz

 眠りに落ちる直前に、

「わ、私、は、初めてなんで、や、優しくして下さいね...」

 そんなフローラさんの声が聞こえたような気がしたけど、きっと気のせいだよね? 夢でも見たのかも知れないね。


◇◇◇


 そして翌朝。

「フワ~アッ...良く寝たぁ~! あ、フローラさん、おはようございます」

「おはようございます...」

「良く眠れました?」

「えぇ、とっても...」

 なんだろう? フローラさんが不機嫌なんだけど。あ、もしかして...

「あの...私、イビキとか歯軋りとか寝言とかうるさかったりしました?」

「いいえ...静かなもんでしたよ...」

「それじゃあ寝相が悪くてフローラさんを蹴っ飛ばしたりとか?」

「いいえ...なにもしなかったですよ...」

「あぁ、良かった~...ん? じゃあなんでフローラさんは不機嫌なんです?」

「カリナさんがなにもしなかったからじゃないですか...」

「えっ!? 今なんて!?」

 声が小さくて良く聞き取れなかったよ。

「いいえ...なんでもありません...それより朝ごはんにしましょうか...」

「ハァ...」

 なんだろ? 良く分かんないや。


◇◇◇
  

 朝ごはんはフローラさんの手作りだ。ベーコンエッグに野菜のスープ、焼き立てトーストにオレンジジュース。朝の定番メニューだね。

 うん、中々のお味だ。フローラさん、料理上手なんだね。

「ごちそう様でした。とっても美味しかったです」

「お粗末様でした」
  
「フローラさん、今日のお店は何時からですか?」

「あ、私、今日お休みの日なんです」

「そうなんですね。じゃあフローラさん、良かったら私にこの町を案内してくれませんか? 他に用事がなかったらでいいんですが」

「構いませんよ。特に用事もありませんし」

「ありがとうございます」

「ちょっと待って下さいね。お弁当作りますから」

 フローラさんが台所に向かおうとするのを手で制する。

「あぁいえいえ、お構い無く。この町の料理屋で食事もしてみたいですし」

「あ、そうですよね。じゃあ早速行きましょうか」

「すいません、お願いします」

 こうして鉱山都市ビエンの観光ツアーというか観光案内がスタートした。
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